『相棒16 元日スペシャル「サクラ」』 ハッカーは魔法使い?超能力者?

ドラマ『相棒16 元日スペシャル 「サクラ」』脚本:太田愛 脚本:内片輝 出演:水谷豊 反町隆史 鈴木杏樹 川原和久 山中崇史 仲間由紀恵 山西惇 大杉蓮 石坂浩二 鶴見辰吾 梶原善 篠井英介 健太郎 石原良純 島かおり 草刈麻有
2018年1月1日(月)放送 テレビ朝日

(注意!)ネタバレあり

ショッピング・モールでの銃撃直後の現場に偶然居合わせた杉下右京と冠城亘。銃撃した犯人は逃走し、足を撃たれた被害者もまた姿を消した。何故?杉下と冠城は捜査を開始するが、事件は意外な展開を見せる。

毎度お馴染み『相棒』元日スペシャル。普段は1時間枠で展開されるのだが、それを2時間以上に拡大して送る。上手くいけばいいが、時として時間拡大の弊害も出る。張りきりすげてスケールを広げて尻すぼみになったり、尺をもてあましてくどくなったり、出来不出来は当然ながらある。
そういう観点からいえば、今回はそんなに捻らずにストレートに作っていて、尺的にも上手く収まっていて良く出来ている。

タイトルの「サクラ」というのは、制服警察官が所持している拳銃のこと。恐らく警察の隠語。で、そのサクラを使って人がひとり撃たれるというオープニングなわけだ。
そのサクラの出所は直ぐ分る。交番で自殺した警察官のものだったのだ。
この辺の展開はモタモタしていないのがいい。
撃たれた被害者が、如何にも怪しげな梶原善なのも分かりやすい。名前は善だけど、役柄は悪というのがいい。片足を撃たれて以降は、松葉杖をカタカタ言わせて歩くという役作りも不気味でいい。

やがて事件に行方不明の3人の男子高校生が絡んでいることが分かってくるあたりから、話が見えて来る。

簡単に言ってしまえば、このドラマの悪役は、内閣情報調査室であり、その中の人間が、ハッキング能力に秀でた3人の高校生を拉致監禁し、政府要人を始めとした重要人物のパソコンのハッキングをさせて得た情報で当該人物を脅迫していたのである。
ドラマや映画に出て来るハッカーって本当に使い勝手の良い存在だなあ。まるで魔法使いか超能力者。しかも、今回はそれが高校生ときた。それにしても、内閣情報調査室とあろうものが、自分の組織内に自前のハッカーを用意できず、高校生を半年も拉致監禁して働かせるってどんだけ無能でダメな組織なの。
もっともこの3人の高校生、普通の高校生じゃなくて、「バグハンターコンテスト2017優勝」のチームなのだから、優秀なのは確か。
ちなみに杉下右京によれば、これは、
「コンピューターのバグを脆弱性を見つける大会ですねえ、参加するのは主にハッカーたち」
だそうである。今までとかく犯罪者もしくは犯罪者予備軍扱いされていたハッカーが公に認知され技を競う大会が出来たのは目出度いことである。

それにしても拉致監禁した高校生をどうするつもりだったのだろう。ずっとこのまま飼い殺し?解放したら世間に悪事がバレルからなあ。どこかの時点で殺しちゃうとか。
どうもこの辺の組織の思惑がハッキリしない。ま、だからこそ、怖いとも言える。見切り発車で高校生を拉致監禁したけれど、その後のことは考えていません、というのは酷すぎて怖い。

3人もそんな組織に反抗し、脱出し、逃亡する。そのなかでの梶原善の銃撃でもあったわけだ。さらに、銃を持って逃亡中の一人が、復讐のために組織のトップを殺そうと近づいていく。
この話の流れがなかなか面白い。杉下右京等の捜査と並行して高校生の行動が描かれていくのが上手い。う~ん、いっそのこと、杉下右京の出番を少なくして、高校生をメインに話を進めて欲しいくらいだった。そのくらい彼らに感情移入してしまった。特にリーダー格の高校生を演じる健太郎がイイ。『アシガール』の若君だった人だけど、今度も好演。
彼が、組織のボス鶴見辰吾と対峙するクライマックスシーンは非常に盛り上がる。勿論、ここは杉下右京を演じる水谷豊の見せ場でもある。やっぱり、キッチリ持って行っちゃうなあ。

自殺した警察官のことがあまり描かれていないので、彼が自殺するのはサクラを高校生に入手させるための御都合主義に見えてしまってちょっと減点。

ともあれ、なかなか面白く楽しめる一編だった。


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