「パララックス・ビュー」

DVD(映画)「パララックス・ビュー」THE PARALLAX VIEW 1974年 アメリカ 配給:パラマウント映画 製作・監督:アラン・J・パクラ 脚本:デビッド・ガイラー ロレンツォ・センブル・Jr. 出演:ウォーレン・ビイティ ヒューム・クローニン ウィリアム・ダニエルズ ポーラ・プレンティス 上映時間102分 日本語字幕版  
2010年1月23日(土)購入 ヨドバシカメラAKIBA店 価格1000円 
2010年1月26日(火)鑑賞

「大統領候補の暗殺事件に隠された驚くべき謎に迫るポリティカル・サスペンス!」(DVDパッケージの帯より)
「アメリカの政府組織のよる秘密裏の暗殺計画をスリリングに描いた第1級の社会派サスペンス。」(DVDパッケージ裏より)

初見。僕が本格的に映画を観はじめたころの映画だが、なぜか見逃していた。題材も興味深いし、ウォーレン・ビイティも好きなので大いに期待してDVDを買って観てみた。ちなみにウォーレン・ビイティという表記はDVDによるものを踏襲した。この人の名前の表記はいつも迷う。昔はビーティで統一されていたと思うが、いつのことか忘れたが本人の申し出によりベイティ表記に変えるようになった。(はずだった。)今はまたぐだぐだになったのか、このDVDはビイティ表記である。そういえば昔のビーティ時代にビューティと間違えていた人がいた。人名の間違いには気をつけよう。自戒の念を込めてそう思う。

肝心の映画の感想なのだが、いやー、こんな変な映画だとは思わなかった。期待外れもいいところだ。サスペンス映画としてみると非常にぬるい作りでどうしょうもない出来だし、アクションもピリッとしないし、社会派なんてとんでもない。パッケージの文章を書いた人は本当にこの映画観たのだろうか。もしかして、僕が観たのとは違う映画?と思ってしまうほど落差がある。

新聞記者フレディー(ウォーレン・ビイティ)は、上院議員暗殺事件に疑問を抱き調査を始めるが、やがて「パララックス社」なる謎の会社の存在に気づく。そして・・・。

この手の映画の定番のストーリーである。頑固な上司(ヒューム・クローニン)にはっぱをかけられつつ事件を探っているうちに命の危険に度々晒されるというのも毎度おなじみの展開だ。ところが、一向に面白くならない。
脚本的には色々盛り込んであるのは理解できる。ダム、海上のヨット、旅客機と場所を次々変えて観客を飽きさせないような工夫は確かにある。しかし、映像の撮り方がどうもしっくりこない。
例えば、放水の始まったダムの下流でフレディーが保安官に殺されそうになりもみ合うシーン、なぜかカメラがロングから捉えているのでまるで臨場感が出ず迫力がない。海上のヨットが爆発するシーンも引いた「画」で取られているので、間一髪でフレディーが海に飛び込んで無事という設定がなんだか間が抜けて見える。
旅客機のくだりはさらに分からない変なシーンだ。爆弾が仕掛けられたらしい旅客機にフレディーが乗り込み、トイレの鏡に「この機には爆弾が積んである。」と警告文を書いて消すというのは一体どういう意味だ。爆発を阻止したいなら自ら乗らずに警告を発した方がいいと思うのだが。もうこのあたりからこの主人公の考えることもよくわからなくなってくる。僕の頭が悪いんですかねえ。他にも分からないところが頻発するのだ。

謎の組織「パララックス社」というのもずいぶん不思議な組織である。フレディーに言わせると「暗殺者の集団」らしいのだが、なぜか常に人員不足で優秀な人材を募集しているのだ。試しにフレディーが応募してみると、なぜかスカウトマンがやってきたりして面接したり、テストしたり、挙句の果てに事務所で変な映像を見せられたりする。
実を言うとこの映像がこの映画で一番面白かった。「リング」の呪いのビデオのように意味がありそうでなさそう、単純そうで複雑な映像がひとコマずつ映し出されていく。例えば、「敵」というタイトルが出てヒットラーの写真の後に毛沢東、その後にカストロという並びはどういう意味だろう。「父」で映画「シェーン」の写真が出たりするのも面白い。
暗殺者にするための洗脳映像ということなのだろうか。なかなか凝っていて秀逸である。ちなみに全部のタイトルを並べると「愛・母・父・私・家庭・国・神・敵・幸福」となっている。
なんかこのあたりはサスペンスというよりブラックコメディという感じ。なにしろスカウトマンに言わせるとパララックス社が求める有能な人材とは、反社会的な性格の持ち主というのだから面白い。全編この調子でやってくれたらよかったのにそうもならずコメディとしても中途半端なのだ。

クライマックスにもう一つの暗殺があり、ここの作り方は非常に凝った映像である。ただここも遠くから捉えた映像なのでちっとも盛り上がらない。というか普通のサスペンス映画なんか作りたくないんじゃないのかな。なんかアート・ムービーみたいなのを狙っているのかもしれない。映像的には観るべきものはあるとしても構成はまるで駄目だ。このクライマックスでのフレディーの行動が腑に落ちないし、何を考えてるのかも分からない。暗殺事件に巻き込まれようとしているのに何をぐずぐずしているのかさっぱり状況がつかめない。

もう一度DVDを観直してみようかと思ったが、その気力が出なかった。ガックリ。

(追記)その後、他の人の映画ブログを覗いていたら、「フレディーはマインドコントロールされていたのではないか。」という意見を見つけた。なるほど、あの映像を観たことによって洗脳され、パララックス社により動かされていたわけか。そうすると後半のわけのわからない行動の謎もいくらかは解けるような気がする。だからといってこの映画が面白くなるわけではないが。(3月7日)

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