『裸のジャングル』 郷に入っては郷に従え

映画(DVD)『裸のジャングル』THE NAKED PREY 1966年 アメリカ映画 製作・監督・主演:コーネル・ワイルド 脚本:クリント・ジョンストン ドン・ピータース 出演:ケン・ガンプ 上映時間96分 日本語字幕スーパー版
2020年5月6日(水)鑑賞

(注意!)ネタバレあり。

毎度お馴染み「人狩り」がテーマの作品。狩られるのは白人ハンター、狩るのはアフリカ原住民。普段、動物を標的にしているハンターが今度は自分が標的になり命を狙われ、広大な大地を命がけで逃げ戦う。非常にシンプルな作りだが、なかなか面白い映画である。

時代設定は19世紀後半。ハンターでありガイドでもある男(役名なし)が、白人ハンターたちを率いて象狩りに赴くが、その土地の原住民から「貢ぎ物を差し出せ」と要求される。男は、それがこの地のルールでありそれに従うように忠告するがハンターたちは拒絶する。
象狩りを終えて休んでいる一行は、突然かの原住民たちの襲撃を受け、全員捕らえられる。原住民の村に連れてこられたハンターたちは、それぞれ違った残虐な処刑方法で殺されていく。原住民は最後の一人となった男に対しては、友好的だったことを認めてその場で殺さずに「逃げろ」と示唆する。無罪放免かとおもいきや、ちゃんと追手がいて「狩り」をするのだ。かくして男は何人もの男たちに追われ、必死の逃避行をするのであった。

「人狩り」以前に処刑が儀式的であったりして、どこか『ミッドサマー』や『ウィッカーマン』味もある。「外国に行ったら、その土地の人がとんでもない思想でとんでもない儀式を行っていて、それによってとんでもない目に遭いました」映画とでもいおうか。まあ『ミッドサマー』や『ウィッカーマン』は最初から計画的に儀式に組み込まれた感があって抵抗できないが、こちらはちゃんと相手の言い分通りのショバ代払っていたら最悪の事態が免れた感が強い。郷に入っては郷に従え、は本当だなと思う。
ここで白人の傲慢さ及び原住民の酷さも描いている。いくらなんでも全員皆殺しするほどの悪行とは思えない。この辺を描きすぎると、未開の野蛮人扱いになるような気がする。
この映画が上手いのは、そういう所謂問題提起はそこそこにして、あとはただひたすら「人狩り」のアクション映画に仕立ててあるところだ。

ハンターが狩られるという皮肉。男の銃は取り上げられ、本当に身一つ、素っ裸で逃げなくてはならない。何とか追手の一人を倒し、その服を奪って着て、武器の槍も手にできた。原住民と同じ立場になったわけだ。あと頼りになるのは自分の肉体と頭脳だけ。
男のセリフが極端に少ない。追手は人数がいるからそこそこ会話を交わしているが。

こういう追いつ追われつの物語は確かに最初は面白いが、単調すぎて飽きて来るのも確かだ。逃げる男も追う男たちも同じだし(何人かは殺されるが)、あまり起伏のいない土地なので情景に代わり映えがしない。
そこで、作り手たちは後半部にもう一つの「人狩り」を用意する。ある村が、突如、奴隷商人の命を受けた者どもによって襲撃される。村人を拉致し商品として売りさばこうというのだ。偶然、その村のそばに居合わせた男は、それを目撃し、巻き込まれてしまう。男は戦うが、あくまで自分の身を守るためであって、村人を助けるなんてことはできないし、しない。ただ、村人の中でただ一人逃れた幼い少女と出会い、道づれになる。ここでは、本来の「人狩り」はどこかに行ってしまう。あっちはあくまで儀式なのだが、こちらは金儲けのための行為に過ぎない。勿論その裏には白人たちの姿が感じられる。
男は、ここで白人を非難するわけではない。相変わらず寡黙なまま。

少女に命を助けられ、つかの間、男と少女の間に交流みたいなものが生まれ、ここはなかなかハートウォーミングでイイのだが、やがて少女は自分の村に帰っていく。そこにはまだ奴隷商人の仲間たちがいるかもしれないのに。男も少女を止めないし、一緒に村に行こうとも言わない。普通だと、ここで男が英雄的な行動を何か起こして感動のクライマックスとなるのだが、二人はただ別れるだけ。少女がどうなったかはその後全く描かれない。凄くドライである。

ラスト。再び追手たちに追われた男は必死に走り逃げるが、体力の限界、もはやこれまでというところで眼前に建物が。それは白人たちの施設だった。施設の門が開き、人々がわらわらと出て来る。それを遠くから見ていた生き残りの追手たちは「あいつは勝った」と言ってその場を立ち去った。ここでTHE END。余韻も何もなくバッサリ終わり。男が白人たちに介抱されてとか事情を聴かれてとか余計なシーンは一切なし。男が主人公らしくカッコいい決めセリフを言うとかもなし。
ただただアクションに徹した製作・監督・主演のコーネル・ワイルドに賛辞を贈ろう。裸のジャングル [ ゲルト・ヴァン・デン・ベルク ] - 楽天ブックス
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