『ウィッカーマン』 熊の着ぐるみの中の人

映画(DVD)『ウィッカーマン』THE WICKER MAN 2006年 監督・脚本:ニール・ラビュート オリジナル脚本:アンソニー・シェイファー 出演:ニコラス・ケイジ エレン・バースティン ケイト・ビーハン リーリー・ソビエスキー 上映時間102分
2020年4月28日(火)鑑賞

(注意!)ネタバレあり。『ミッドサマー』のネタバレもあり。ウィッカーマン [ ニコラス・ケイジ ] - 楽天ブックス
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映画『ミッドサマー』が公開された時にこの映画のタイトルを挙げて評論した文章をいくつか読んだ。それでどんなものかと興味を持って観てみた。実は今回観たのはリメイク版である。オリジナル版の脚本をあのアンソニー・シェイファーが書いているのも大いに興味をそそられた。

白バイ警官のエドワード(ニコラス・ケイジ)は職務中に自動車に乗った若い母親と幼い娘が大型車に追突される現場に遭遇する。炎上する自動車の母娘を救出できなかったことがエドワードの負い目として残った。
そんな時にエドワードのもとに一通の手紙が届けられる。それは8年前に突然失踪した婚約者ウィロー(ケイト・ビーハン)からのもので、内容は自分の娘ローワンが行方不明になったので捜査してほしいとの依頼だった。
エドワードは、ウィローが住む島に赴く。そこは外界から閉ざされた孤島でそこに住む人々は奇妙な共同体を作り生活していた。怪しげな言動の住民ばかりの島でエドワードはローワンを探すのだが、やがて彼は島の支配者シスター・サマーズアイル(エレン・バーステイン)に対峙することになる。

外界と孤絶した共同体、恒例で行われているらしい儀式。なるほど、『ミッドサマー』味がする。確かに『ミッドサマー』は『ウィッカーマン』の影響大である。特に笑ってしまうのは問題の儀式で熊の着ぐるみを着た男が焼かれるってまんまじゃないの。
ただし、出来栄えとしては、この映画は『ミッドサマー』より見劣りする。正直言って失敗作だと思う。
いちばん問題なのは色々と詰め込みすぎてわかりにくくなっていることだ。映画冒頭で炎上する自動車のシーンで出て来る母娘がその後の展開に何か関係があるかと思うと別に何もないようだし、そのくせ、この母娘が「身元不明」というのも意味ありげなのだ。
主人公のエドワードのトラウマのもとになったという関係だけなのかもしれない。炎上で始まったドラマがラストも炎上で終わるということなのかもしれない。最初と最後を律義に合わせる。
そもそも、このエドワードもよくわからない人物。島に着いて捜査を開始したら猪突猛進、八方破れで住民たちを追及していく。ちょっとイカレてるんじゃないかと思えるほど。イカレていると言えば、彼は行方不明のローワンの姿を夢に見て、夢から覚めたらまた夢だったり、妄想したり、先の事故の母娘がフラッシュバックしたりとドラッグでもやっているかのようなヤバい感じ。演じるニコラス・ケイジがまたオーバーアクションなので余計に大袈裟に感じる。特異な状況下、怪しげな住民に対して主人公くらいはまともであってほしい。これではどこまでが現実でどこまでが主人公の妄想かよくわからない。

エドワードは、ローワンがこの島の村の儀式で神に捧げる生贄にされるのだと思い込み、ローワン救出に行動するのだが、そこで彼は恐るべき真実を知る。実は生贄になることが決まっていたのはエドワードの方であってウィローの手紙から始まって全ては計画通りのストーリーに彼は動かされていたのである。
「驚愕のラストシーン」とDVDのパッケージにはあるが、残念ながら『ミッドサマー』を先に見ちゃったので驚きはない。残念。

エレン・バーステインがさすがの貫禄があり美しい。役柄としてはかつての名作『エクソシスト』(1973年)が娘が悪魔に憑りつかれるのに対し、こちらは神(邪神?)に生贄を捧げる役と言うのが対称的で面白い。
彼女が支配する共同体はどうやら女権体制らしい。男はあくまで子どもを孕むために必要な存在に過ぎない。何故か妊婦の女性が目立つのと男たちが総じて話さない(話せない?)のが印象的。男たち、舌を抜かれているのではないか。
リーリー・ソビエスキーも綺麗だけど、この人あまり大成しなかったなあ、キューブリックの『アイズワイドシャット』(1999年)で初めて見て一遍で好きになったのだけどね。

機会があったらオリジナル版も観てみたい。

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