『ピーナツバター作戦』 ストリッパーに愛を捧げる

SF(短編集)『ピーナツバター作戦』ロバート・F・ヤング著 桐山芳男編 青心社 2006年12月10日初版発行
2019年6月13日(木)読了

(注意!)ネタバレあり

短編集。短編全5編収録。

「星に願いを」
軍事独裁政権下の世界。徴兵制が引かれ、徴兵対象は16歳以上の身体健全な市民であり、学校や大学はすべて廃止された。軍事体制に組み込まれた人々は抵抗するすべもなかった。ただわが子を思う親たちは、子供たちを兵士にしないためにに故意に障害者にするため身体を傷つけた。そんな世界で両親によって片足をびっこにさせられた男アランは、何年も夢に見ていた少女が実在することを発見した。その少女ダイアンは、ストリップ劇場で踊るストリッパーだった。
如何にもな軍事独裁のディストピアを舞台にしているのに夢で何年も会っていた少女とのラブストーリーというのは如何にもなロマンティック展開。しかもその少女はストリッパーで軍人の寵愛を受けている。なんとも破天荒な話。ダークな世界と甘いロマンスの無理やりな結合。このあとはもっと凄くて、ラストでは他の惑星に二人がテレポートして新しい世界のアダムとイブになるだろうという予感で終わる。こういう色々ぶち込んだ話は結構好き。
傑作。

「ピーナツバター作戦」
7歳の少年ジェフリイが森で出会ったのはふたりの妖精。妖精はジェフリイが持っていたサンドイッチのピーナツバターにいたく興味を示したので、その後もせっせとピーナツバターを妖精の要請通りに彼らのもとに運んだ。
実は彼らは妖精ではなく、宇宙船で地球に不時着した異星人だった。燃料切れの宇宙船を始動するためにピーナツバターが是非必要だったのだ。
子供と異星人の交流を描いて『E・T』の先駆けとなった作品。コミカルな話。ピーナツバターの利用法が面白い。

「種の起源」
マンモス型航時機に乗って行方不明の男女の古人種学者を探しに原始時代に向かった過去探査係員ファレルの見たものとは。今明かされる古代の人類の謎。
ファレルは、ネアンデルタール人がクロマニヨン人を管理している様子を目撃する。さらに驚くべきは、クロマニヨン人はどこか別の惑星から瞬間転移してやってきたのだ。どうやら彼らは罪を犯した囚人で地球は流刑地であったのだ。まさか人類の祖先が異星人だったとは。しかもファレルがネアンデルタール人のほうを倒すと、実はそれは機械であり、中から小人の異星人が現れ逃げて行った。
これもまあ、色々とアイデア満載の面白い作品。マンモス型航時機というのが気に入った。これなら原始時代に行っても怪しまれない。ネアンデルタール人が中の人が操縦するロボットだというのも愉快。
その後、生き残り助けられた女性の古人種学者が実は経歴詐称していて、過去にストリッパーだったことが分かり学者としてやっていけなくなる。彼女に恋したファレルが、現役のストリッパーに戻った彼女の職場(ストリップ劇場)を訪れてポロポーズするのがラスト。なんだろう、このストリッパーに対するこだわり。
傑作。

「神の御子」
この作品は面白さがよく分からなかった。いずれも宗教(キリスト教)をバックボーンにした話で、どうにもピンと来ない。評価保留。

「われらが栄光の星」
これも下地になっている「さまよえるオランダ人の伝説」をよく知らないのですごく隔靴掻痒な感じ。
ただ、主人公の宇宙船に若い女性の密航者(ヒロインになる)が乗りこんでいるシーンは、『冷たい方程式』だなと思うし、その女性が過去にストリッパーをやっていることが明かされるところとか、またしてもストリッパーかと嬉しくなる。

ピーナツバター作戦 (Seishinsha SF Series)
青心社
ロバート・F. ヤング

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