『GENESIS 一万年の午後 創元日本SFアンソロジー』 王女様の休日

SF(アンソロジー)『GENESIS 一万年の午後 創元日本SFアンソロジー』堀晃ほか著 東京創元社 2018年12月21日初版
2019年2月10日(日)読了

(注意!)ネタバレあり

短編小説8編、エッセイ2編収録。

「草原のサンタ・ムエルテ」宮澤伊織
地球外生命体が宇宙を彷徨い辿り着いた地球で人間に憑依し、殺戮と破壊の魔神と化した。死闘の末、それを倒したのは、同じく憑依体となった8歳の少女だった。やがて、次なる地球外生命体が飛来して・・・。
平井和正『死霊狩り』だの岩明均『寄生獣』だの、といった先行作品が思い浮かぶが、これはこれできちんと手堅く面白く出来ている。
すぐにでもハリウッドで実写映画希望と行きたいところだが、まずはこれの続編希望。

「10月2日を過ぎても」堀晃
地震、豪雨、台風などの自然災害が相次いだ去年(2018年)を振り返る実録ものと思わせて、ラストで架空の「災害」を持ってくる、という手の込んだ虚実が混沌とした作品。実際に起きた災害の方も本当に全部ノンフィクションなのか、細部に仕掛けがあるのではないかという気分になる。ただ、ぼくが住んだことのない大阪の話なのでその辺の仕掛けはよく分からない。所謂「お化け煙突」が大阪に今もあるというのは初めて知ったが、まさかこれもフェイク?

「ブラッド・ナイト・ノワール」秋永真琴
何となく、映画『ローマの休日』のオマージュみたいな作品。だけど、映画は王女様と新聞記者という組み合わせだが、こちらは、王女様と吸血鬼(の末裔)である。この作品の世界観が面白い。アクションもあるし、感動もある。

「イヴの末裔たちの明日」松崎有理
AI搭載のロボットに職を奪われてしまった男は、治験アルバイト(有償ボランティア)という仕事に就くことになる。そこで彼が体験したこととは・・・。
もう何年か後には現実になりそうな世知辛い話。ラストに二段構えのオチが附く。これが面白い。

「ホテル・アースポート」宮内悠介
宇宙エレベーターが出て来るので如何にもSFって感じだが、実は密室状態の中で起きた殺人の謎を解くミステリ。SFとミステリが上手く融合している。
ヒッチコック監督の映画『裏窓』のオマージュとも受け取れる。犯人に殺されそうな時に被害者は何故カメラで撮影したのか、という謎の答えがシンプルで納得の面白さ。
随分昔に映画館で『裏窓』を見た時、知人の女性に「何故、犯人に迫られた時に主人公はカメラを使ったの?」と尋ねられたが、その答えがここにある。




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック