『クワイエット・プレイス』 赤ちゃんの受難、もしくはホラーのお約束について

映画『クワイエット・プレイス』A QUIET PLACE 2018年 アメリカ 配給:東和ピクチャーズ 監督・脚本・出演:ジョン・クラシンスキー 原案・脚本:ブライアン・ウッズ スコット・ベック 製作:マイケル・ベイ 出演:エミリー・ブラント ミリセント・シモンズ ノア・ジュプ 上映時間90分 日本語字幕スーパー版 字幕翻訳:松浦美奈 
2018年9月28日(金)鑑賞 TOHOシネマズ西新井スクリーン10 18時40分の回 座席C-8 入場料1100円(シニア料金) パンフレット720円 ポップコーンセット670円

(注意!)ネタバレあり

設定の面白さで魅せるホラー映画。
どうやら人類の大半は死滅したらしい。生き残った家族4人が、食料調達のために、荒廃した無人の町に行く。4人は、音を立てないように歩き、声を出さず手話で会話する。何故?
何故なら、音に反応して襲ってくる「何か」がいるからだ。そして、町からの帰路、一番下の4歳の男の子が、つい音を立てた瞬間、その「何か」が飛び出してきて、男の子をかっさらってどこかへ行ってしまう。どうやら、男の子は殺された模様。ここまでは「つかみ」として非常に優秀。
それにしても、最近のホラーは油断も隙もないな。『IT』もそうだったが、初っ端に幼児を血祭りにあげるなんて、極悪非道だな。昔のホラーはこれほどではなかった気がする。子どもは殺さない、みたいな不文律があったような・・・。それをアッサリ破ったのは、スピルバーグの『ジョーズ』だ。血しぶきと共にサメに殺される子ども・・・、あれ見た時にスピルバーグは天才だと確信した。

さて、「つかみ」としては非常に優秀、と書いたのだが、同時に「なあんだ」という気にもなった。もうこのシーンで、「何か」が「生き物」であることが分かってしまった。音に反応して襲ってくるのが生き物ではなく、マシンのようなものか、もっと超越的なものかと期待していたのだ。生き物なら、対策も立てられるし、何より音への反応も恣意的なものになるだろう、生き物だもの。これが、ある一定の音量になると必ず察知して、必ず襲撃してくる殺人マシンとは違うところ。こういう風にした方が、オハナシを作り易かったのは分かるが、正直言ってどの程度の音で生き物が襲ってくるのか、今一つしっくりこない。
設定は確かに抜群に面白いのだが、それが十全に活かされているとは言い難い。脚本・演出が真面目すぎ、一本調子なのだ。もっと外連味が欲しかった。音を立ててヒヤリとしたが襲って来なくてホッとしたら、やっぱりそこにいた、みたいなユーモアありの緩急つけた演出もありだったのではないか。それに類似したシーンもあるのだが上手いとは言えない。

この映画は、説明が少ない。人類死滅の経緯もあの生き物の正体も不明。まあ、その辺はあえて不明にしておいてサスペンスを盛り上げるという企みなのだろう。それはいいとして、むしろ気になったのは、家の地下に大量の無線機を揃えているパパは何者ということ。電気は自家発電?凄い音するんじゃないかな。
この状況下で夫婦がセックスして、そのあげくママが妊娠して出産間近というのもムチャにもほどがある。だが、このムチャは大好きだ。映画はこのくらいのハッタリがあった方がいい。音を立ててはいけないので、あえぎ声とか我慢しながらのセックスを想像すると何だか楽しくほのぼのしてくる。時期的には、4歳の息子が殺されたあとだ。悲しみを乗り越えるためのセックス、感動的。
ただ、残念なのは、見せ場になるはずの「命懸けの出産」シーンが意外にアッサリしていること。ここはもっと押して行かなくちゃ。それにしても、生まれたばかりの赤ちゃんも狭いところに閉じ込められたり、いきなり凄い試練だ。あの赤ちゃん、本物だよね、CGじゃないよね。演技とはいえ、幼児虐待というか新生児虐待疑惑が湧く。

ホラー映画の「お約束」に忠実なところが面白くもあり、ガックリもする。身重の奥さんを家に置いて、パパが息子を連れて瀧を見に行くってどうなんだろう。娘は娘で勝手に家を出て単独行動するし。こういう状況下でみんなが固まって行動しないでバラバラになっちゃダメって過去のホラー映画が散々教えてくれているのに、ヤッパリこうなってしまうのがなんともかんとも。
こういうところが良くも悪くもB級映画って感じなのだ。決して低予算だからB級映画なのではなく、なんというか、B級映画精神が随所にある。ラストなんかその典型。



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