『ローダンNEO 1 スターダスト』 ドイツ人はどいつだ?

小説(SF)『ローダンNEO 1 スターダスト』2011年 ドイツ フランク・ボルシュ著 柴田さとみ訳 ハヤカワ文庫SF 2017年7月25日発行
2017年11月18日(土)読了

(注意!)ネタバレあり

ドイツで半世紀以上に亘って刊行され続けている『宇宙英雄ローダン』シリーズのリプート版第1作。勿論、オリジナルの方も好評につき刊行中なのだが、それとは別にまた一から仕切り直しというわけである。どれだけ人気あるんだ、ペリー・ローダン。残念ながら、ぼくはオリジナルの方は最初の数巻を遙か昔に読んだ記憶しかないし、作品の内容はほとんど忘れてしまった。新たなスタートということで、余計な知識とか入れずに初心に戻って、読んでみるかと、取りあえず第1巻を買って読んでみた。

時代設定は、2036年。世界情勢は、不穏。イランとイラクは共に核兵器を保有して、一触即発の状態。もし両国の戦争になれば、それは大ロシア対アメリカの核戦争に拡大する懸念があり、さらにその間隙をぬって、中国が台湾に侵略をする用意があり、台湾は既に秘密裏に核兵器を保有しているため、中国対台湾の核戦争が勃発する見通し。とまあ、ただ事ではない情勢である。
それとは直接関係ないが、そんな時、NASAのペリー・ローダン少佐は、連絡が途絶えた月基地を調査するために月に向って宇宙船スターダスト号を自ら操縦していた。そして、月に到着したローダンが見たものとは。
さらにそれとは何の関係もない(と思われるが)アメリカのヒューストンにある児童養護施設で暮らす一人の少年シドにある異変が起きていた。

ローダンのエピソード、シドのエピソードが交互に語られていく構成。どうやら、シドはテレポーテーション能力に目覚めた超能力者なのだが、ローダンの熱烈なファンという以外はローダンと接点はなさそうだ。この二人がどう結び付くのか、ラストまで読んだが、残念ながらこの第1巻では明かされず。次巻をお楽しみにということか。

ローダンの方は、月で異星人の宇宙船を発見。ここで人類史上初めて異星人とのファースト・コンタクトが成立したわけだ。ただ、今まで散々SFで書かれてきた題材なので何を今さら感が大いにある。それでも、異星人の宇宙船にいた老人と女性リーダー以外の乗組員はことごとく所謂「ゲーム廃人」になっていた、という展開は面白い。こういうの珍しいのではないか。ギャグのつもりかと思いきや、結構シリアス。

ドイツ人作家が書いているSF小説なのに、何故か主人公ペリー・ローダンを始めとして、登場人物はアメリカ人が多い。あと、中国人、ロシア人がちらっと出て来るが、ドイツ人らしき人は出て来ない。いいのかね。ドイツのナショナリストの人が怒らんかね。宇宙ロケットの話にドイツ人は関係ないということなのだろうか。そういえば、現実でもドイツの宇宙開発とか聞いたことがない。
で、アメリカ万歳かと思いきや、違った。ローダンが異星人とともに地球に帰還する宇宙船に向けてアメリカのミサイルが発射された。辛くもそれを回避したが、この行為に怒ったローダンは、地球に降り立つと、自分の制服に縫い付けられたアメリカ国旗を剥がし、大地に打ち捨てた。これが、この小説のラストシーン。祖国に裏切られたローダンの仕返しであると同時にここで国家に縛られない地球人宣言をしたともとれる。でも、ここまでアメリカ人を描いてきて、ラストがこれとは、このドイツ人の作家フランク・ボルシュも相当意地が悪い。
だが、そこが非常に面白かった。

異星人とはまだ出会ったばかりで、先のストーリーが読めないし、超能力少年シドの運命も気になる。これは、この先も読まんといかんな。





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