『相棒15 元日スペシャル 帰還』 楽しみとしての犯罪

テレビドラマ『相棒15 元日スペシャル 帰還』脚本:真野勝成 監督:兼崎涼介 出演:水谷豊 反町隆史 鈴木杏樹 川原和久 山中崇史 山西惇 浅利陽介 神保悟志 片桐竜次 小野了 八嶋智人 伊藤歩 小宮孝康 平岡拓真 仁村紗和 内野謙太 永島敏行 大杉漣 仲間由紀恵 石坂浩二
2017年1月1日(日)21時~23時15分放送 テレビ朝日

(注意!)ネタバレあり。

東京都のはずれにある黒水(くろうず)町の交番勤務をすることになった特命係の二人が、その町に赴任したら、警察官連続失踪の噂を耳にする。好奇心を抑えられず動き出す二人。黒水町はかつて新興宗教が共同体を作っていた町で、今は町長の方針で前科者を積極的に町で受け入れる方針なのだという。
やがて事件は意外な方向に進展していく・・・。

閉ざされた町での怪事件というと、ミステリのひとつのパターンである。しかも町の住民がかつては共同体を作っていて、警察との揉め事もあったとなると、地にまつわる因縁とか云う方面に話が進むと思いきや、意外に早く、失踪した5人の警察官が麻薬売買に関わっていたことが判明し、さらに警視庁総監がこの町に関与をしてきた。総監の思惑とは?

警視庁絡みの大きなスキャンダルの話に発展するか、と思わせておいて、実はある一人の人物がまるでゲームのように楽しんで行った犯罪であることを杉下右京が突き止める。

(以下、犯人、事件の真相についてネタバレ)

結局、町長和合が真犯人であった。動機は、特になく、ただ楽しいから、というだけ。カレーを作る材料が揃ったらカレーを作るように、犯罪を実行する場所と人が揃ってしまったので実行したというのである。被害者にするにふさわしい悪徳警官たち、容疑者にうってつけの若者、情報を流して動かす地元の女性ジャーナリスト、元教祖の名前を使えば言い成りの住民たちと、確かに手札は揃っている。さあ、ゲームの始まりです、というわけだ。
このいかにもサイコパスの町長でIT企業の社長を演じるのが八嶋智人というのがナイスキャスティングである。この俳優の持っている「小物」感が上手いカモフラージュになってとても彼が犯人だとは思えなかった。彼が『古畑任三郎』でサブレギュラーだったのも見る方を騙す要因になっている。真犯人と見抜かれても、途端に凄みや怖さを見せるわけでもなく、ただおちゃらけているというのが逆に怖い。これには、杉下右京の激昂の一喝も効き目がない。ただ、こんな風に言うだけ、それが相手に伝わったかどうか。

「人間はいつもギリギリの淵に立っている。誰だって人の体が簡単に壊れる事、心が簡単に操れる事を知っているんです。それでも、自らの意志でそうしない事を選んでいる。間違いを犯せば、後悔し、自分を責め、淵の下から這い上がろうとする。そういう人間そのものの姿をあなたは知らない。永遠に理解できない。」
「あなたは人生の本当の楽しみを知ることはない、憐れな人だ。」

ゲスト出演では他に伊藤歩と永島敏行が出演して、かなり目立つ大きな役で見せ場もあるのだが、結局二人とも殺される役というのは、スタッフも相当意地が悪い。

八嶋智人の役は、これ一本でオシマイにしてしまうのは惜しいから、今後に出番が来るのではないかと思っている。推理ではなく、単なる勘だが。

それにしても前述の杉下右京のセリフはよく考えると怖い。「誰だって人の体が簡単に壊れる事、心が簡単に操れる事を知っている」というのは、実は杉下右京自身の告白ではないだろうか。自らの犯罪願望を語り、だが、それでも「いつもギリギリの淵に立って」「自らの意志でそうしないことを選ぶ」というのは、自分で自分に言い聞かせているようだ。杉下右京がこんなに自らの本音を吐露したことはかつてなかった・・・。

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