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zoom RSS 『わたしを離さないで 第9話』 でも、そんなものはないんです

<<   作成日時 : 2016/03/17 07:28   >>

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ドラマ『わたしを離さないで』原作:カズオ・イシグロ 脚本:森下佳子 演出:山本剛義 出演:綾瀬はるか 三浦春馬 真飛聖 矢代英輝 柄本佑 麻生祐未
2016年3月18日(金)放送

(注意!)ネタバレあり。原作のネタバレもしています。

恭子(綾瀬はるか)と友彦(三浦春馬)は、「猶予」を勝ち取るために恵美子先生(麻生祐未)の住所を探し当てて、二人で直接会いに行った。そこで恵美子先生の口から出たのは、意外な「真実」であった。

原作と同じ話の流れであるが、決定的に違うのは、恵美子先生が自分もクローンであると告白するところ。原作にはそんなこと全く書かれていない。随分思い切った改変である。こういうオリジナル要素は今までもいくつか目についたが、これが決定版だろう。原作を遵守するという立場に立てば、トンデモナイ冒瀆と思えるだろうが、ぼくは「これもアリか」と思ってしまった。これはこれで説得力がある。
恵美子先生がクローンだとしたら、何故、陽光学苑のような他にはない施設を創設したかが解き明かされる。つまり、クローンにも「外の人間」なみの幼少時代を送らせてあげたい、という同じクローンの同属意識がなせることではないか。せめてクローンの子どもたちに「魂」というものが存在することを「外の人間」に知らせたい、という切ない思いが、こう設定することによってより鮮明になる。
カズオ・イシグロの原作を読んでこういう「新解釈」を思いついた脚本家の森下佳子は素晴らしい。

ただ、恵美子先生をクローンとしてしまうと、原作にある先生やマダムのクローンに対する尋常ではない「恐怖」が描かれないことになる。恐怖、こそが原作の肝だと思うのだが。それまで人間に勝手に作られ利用されるだけの哀れな存在と描かれてきたクローンが、実は人間たちに恐怖をもたらす存在だとするこの発想はまさにSFだと思う。人類とは異なる新人類こそクローンなのではないか。だからこそ、クローンに生殖能力を与えなかったのだろう、彼らが、子を増やし人類に対抗するのを恐れるあまりに。
残念ながら、原作から読み取れるそういうものは、ドラマおよびイギリスの映画版ではバッサリ切られてしまっている。

ちなみにこのドラマ、第9話にして初めて、「クローン」という言葉が出て来る。よくここまで、クローンを使わずに乗り切ったものだと感心。説明不足と感じた人もいたようだが、逆にクローンと早々と言ってしまうと、全てが分かった気になってしまうという弊害がある。敢えて直接的表現を避けて含みを持たせるという脚本家の高度なテクニック。

あれほど乞い願った「猶予」が、恵美子先生に「そんなものはないんです」と言下に完全否定された恭子と友彦。帰り道で自動車を降りて、友彦が慟哭して暴れるシーンは原作通りだが、三浦春馬の好演もあって原作以上に迫力があり、またその悲しみと怒りがストレートに伝わる名シーンになっている。
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