『わたしを離さないで 第5話』 夢見る力

ドラマ『わたしを離さないで 第5話』原作:カズオ・イシグロ 脚本:森下佳子 演出:山本剛義 出演:綾瀬はるか 水川あさみ 三浦春馬 白羽ゆり 阿部進之介 大友康平 梶原善 伊藤歩 
2016年2月12日(金)放送 TBS

(ネタバレあり!)カズオ・イシグロの原作のネタバレもあり。

コテージの仲間が、町で美和(水川あさみ)に似た女性を見かけたと知らせてきた。その人は、美和のルーツ(細胞を提供した人)かもしれない。半信半疑ながら、その人に会うために美和、恭子(綾瀬はるか)、友彦(三浦春馬)、あぐり(白羽ゆり)、譲二(阿部進之介)の5人が自動車で出掛ける。そこで彼らが見たものは。

第4話に比べると、随分原作に忠実な展開になっている。勿論、細部は色々変えてきてはいるし、イギリスと日本の違いはやはりどうしても出て来る。原作の「ノーフォーク」が、「のぞみが崎」になっていたり、「ポシブル」と呼ばれていたのが「ルーツ」になったりとか。
また原作では、「クローン人間」という言葉が出て来るのに、ドラマでは出てこない。原作では、自分たちのポシブルについて話し合ったりするシーンがまずあってからのポシブル探しなので分かりやすいが、ドラマをそこら辺をすっ飛ばしている。だから、恭子がポルノ雑誌で自分のポシブル(ドラマではルーツ)を見つけようとするのが唐突に思えてしまう。
そういうところはあるにしろ、なかなか良く出来た話になっている。ノーフォーク改めのぞみが崎が単にゴミが流れ着いた惨憺たる浜辺だったりする日本的わびしさが結構こちらの胸を突く。
文章で読むんで想像したものと、実際に日本人の俳優が演じているものの違いも大きく、そのギャップが面白い。

ここに出て来る5人がみんなどこか「人間」とは違う思考をしているのも興味深い。勿論そういう教育を受けてきたためだろうが、みんなどこか幼稚で信じやすく、浮世離れしている。「外の世界」で生活していないのだから無理ないか。
それが酷く痛々しくて見ていて辛い。特に友彦を演じる三浦春馬のイノセントな表情と行動を見ていると、こちらの方が居た堪れなくなるような気がするほど。
そんな友彦が夢を語るシーンに感動する。

「夢ってどうも叶うから持つもんじゃなくて、叶うか叶わないか分からないから持つもので、持ってることが多分、幸せなことで、だったら俺たちも持ってた方がいいんじゃないかなって。」

「彼ら」が、「外」で買い物するときに使うカードはおそらく「彼ら」専用のカードなのだろう。商店主(大友康平)が、差し出されたそのカードを見て顔色を変えていたから。その表情は、マダムがあの時、陽光で見せたのと同じ感情を表している。それは、「恐怖」の感情。
この商店主の下りは原作にはないが、非常に上手いシーンだと思う。

後半の重要なキーポイントになる「猶予」の話もこの第5話で初めて出て来る。これがドラマではどういう意味を持ってくるのか、原作と同じか、アレンジしているのか。
来週予告を見ると、来週はかなりドラマオリジナル展開の様子。どうなるか、楽しみ。
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