リチャード・スターク『汚れた7人』を読む

小説(ミステリ)『汚れた7人』The Seventh 1966年 リチャード・スターク著 小菅正夫訳 角川文庫 1971年6月4日初版発行 2008年9月25日改版初版発行
2015年12月1日(火)読了

(注意!)ネタバレ、オチバレあり。

「悪党パーカー」シリーズの1編。このシリーズは10作くらい読んでいるが、今作を読むのは初めて。非常に面白かった。
このシリーズの特徴は、まず冒頭からいきなりアクション・シーンから始まること。もったいぶった状況描写だの人物紹介だの時候の挨拶だのをすっ飛ばしてしまう、その痛快さ。

二度目のノックでも答えがないのを知ると、パーカーはドアを蹴破った。

これが今作の第一行目。「鮮やか」としか言いようがない。
で、蹴破ったドアから部屋に入ったパーカーが見つけたのは、彼が同棲していた若い女の死体だった。そこへタイミングよく警官が現れて・・・、と話が展開していく。
ユニークなのは、いつもだったら現金強奪がメインのストーリーになるのだが、ここでは現金強奪が無事成功した後のストーリーがメインになる。その捻った発想がまず面白い。
女が殺され、強奪した大金が盗まれる事態になる。そこでパーカーと仲間たちは、女の関係者に聞き込みに行くのだが、次々に思わぬ事態が起きていく。
凶悪な強盗犯たちが、刑事みたいに聞き込み捜査するというのが何とも変わっていて面白い。どちらかと言えば、ドートマンダー向きの展開だと思う。それをパーカーでやるのがミソか。コメディになりそうでならず、仲間たちに悲劇的結末が待ち構えている。
やっぱり勧善懲悪というか、「犯罪は引き合わない」という風に話は決着する。映画で云うと、『アスファルト・ジャングル』や『現金に体を張れ』みたいな感じ。
唯一、違うのは主人公のパーカーのみが捕まりも殺されもせず、大金をせしめて生き延びること。仲間がバタバタと殺されていくのと実に対称的。主人公だからこれでいいのだ。

女を殺し、大金を盗んだのはプロの犯罪者じゃなくて素人だった。その素人の行動によって、トンデモナイことになるという皮肉さがよく出ている。ただ、所詮は素人だからパーカーの敵じゃないのでやや物足りない。痛し痒しと言ったところか。

冷酷非情で行動力・判断力抜群のパーカーだが、刑事の上を行ったつもりでしっぺ返しを食らうとか、読みが甘い。その辺も御愛嬌か。
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