『心が叫びたがってるんだ。』 山の上のお城で起きたこと

アニメ(映画)『心が叫びたがってるんだ。』監督・絵コンテ:長井龍雪 脚本:岡田麿里 キャラクターデザイン・総作画監督:田中将賀 声の出演:水瀬いのり 内山昂輝 雨宮天 細谷佳正 吉田羊 藤原啓治 古川慎 大山鎬則 石上静香 高橋李依 上映時間119分
2015年9月19日(土)公開
2015年9月21日(月)鑑賞 TOHOシネマズ西新井スクリーン10 14時の回 座席F列8番 入場料1800円 パンフレット900円 「青春の向う脛」パンフレット無料

(注意!)ネタバレあり

夢見がちな少女は、山の上のお城にあこがれを抱いていました。
その日もお城を見に行った少女は、お城から車で出て来るお父さんと女の人を見つけてしまいます。
家に帰ってそのことをお母さんに話す少女。
ほどなくしてお父さんとお母さんは離婚してお父さんは家を出ました。
少女がお城だと思っていたのは、実はラブホテルだったのです。

という冒頭のシーンを見て、その毒にやられてしまった。随分思い切った導入部だなあ、でもこれで掴みはOK。ただし、テレビの地上波のゴールデンタイムで放送できない感じでもあるな。そこが大いに気に入った。

そのあと、少女の前に卵の妖精(?)みたいなものが現れ、災いの元となった少女の口を封印する。そして、少女は他人と話す事の出来ない、話すとお腹が痛くなるようになるのであった。

本筋としては、高校生になった少女・成瀬順(声・水瀬いのり)が、クラスで「地域ふれあい交流会」の委員に選ばれたことから、何人かのクラスメートと触れ合い、さまざまな体験をしていくとことによって変わる、成長するといういわば青春ものの定番である。それをありふれた感じにしていないのは、このヒロインの少女を「心を閉ざした少女」としたからだろう。
他人とうまくコミュニケーションできない、というのは思春期の悩みとしては、結構普遍的なものではあるけれど、成瀬順の場合は、自分が話したことで自分や両親を不幸に陥れたというトラウマがあるからなおさらその悩みは深い。他人と関わるとまた傷つけてしまうかもという恐れが良く伝わって来る。
話として上手いのは、同じ委員に選ばれた男子・坂上拓実(内山昂輝)が次第に順に影響を与えてくるように進展するところ。拓実は、一見平凡だが、結構内側には熱いものを持ち、正義感もある。順のことも放っとけない。さらに後で明かされるのだが、拓実の両親も離婚していて、拓実も順と同じでその原因が自分にあると思っている。
このアニメの魅力はやはりこの拓実と順の関係性にあるだろう。二人はどうなるのか、という興味で見てしまう。普通だと、互いに好きになって、カップル誕生でハッピーエンドとなるのだが、意外なことにそうはならない。
順は拓実が好きなのに拓実は別の女の子が好き。そのことを知った順は、大事な公演の日に主役であるにも関わらずすっぽかして逃走する。順の行方を探す拓実が辿り着いたのは、山の上のお城=ラブホテルだった。
今はもう営業を辞め、廃墟と化している巨大なラブホテルの一室で再会する拓実と順。何と異様でシュールでそしてピュアなシーンだ。このシーンは日本アニメ史に残る名シーンとなるだろう。
営業中はたくさんの男や女がセックスしたであろうその部屋で高校生の少年と少女がセックスなしで言葉で本当の気持ちをぶつけ合う。これこそがエロティックというものだ。
それにしても、お城で始まった話をお城で終わらせる古典的ともいえる構図は素晴らしい限りだ。




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック