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zoom RSS 『世界がもし100億人になったなら』 分かっちゃいるけど止められない

<<   作成日時 : 2015/07/26 20:18   >>

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評論『世界がもし100億人になったなら』スティーヴン・エモット著 満園真木訳 マガジンハウス 2013年8月26日第1刷発行
2015年7月26日(日)読了

(注意!)ネタバレあり。

著者はイギリスの科学者。
タイトル通り、「世界がもし100億人になったなら」いかなる事態が起きるかを簡潔に分かりやすく説明してくれる。結論から言えば、お先真っ暗、というところか。

試しにネットで検索してみると、現在の世界の人口は73億人だそうである。少子化の日本ではあまりピンと来ないのだが、人口は確実に増え続けている。100億人になるのもそう遠い未来ではない。今世紀末、いやもっと早いか。
そうなったときに世界は、いや地球は100億の人間が暮らしていける星なのだろうか。100億人分の住まいと食料を確保するために、今以上に森林を伐採し、農地を作らねばならない。化石燃料を掘り続け、使い続け、環境を悪化させ、地球は温暖化への道を辿って行く。一番懸念されるのは水不足、それにどう人類は対処していくのか。
著者が挙げる問題点は決して目新しいことではない。むしろ聞き飽きた感すらある。だが、こうやって未来への不安材料をコンパクトにまとめ上げて説明されると、今さらながら大変なことだという気がしてくる。

水不足に関連して「仮想水」(バーチャルウォーター)という言葉を初めて知った。
「「仮想水」とは、わたしたちの消費する鶏肉や牛肉、綿、自動車、チョコレート、携帯電話など、ふつうは水を含んでいると考えられていないものをつくるために使われる水のことです。」(78ページ)
「何より皮肉なのは、1リットルの水を入れるペットボトルをつくるのに、およそ4リットルの水が必要だということです。」(80ページ)

著者は、石油や天然ガスが枯渇するという説は誤りだと云う。
「したがって、わたしは化石燃料が尽きてしまうことは心配していません。化石燃料を使い続けることを心配しています。使い続ければ、気候の問題をいっそう悪化させるからです。」(82ページ)
だからといって、所謂グリーンエネルギーが解決策になることを著者は否定する。さらに原子力もコストがかかりすぎると否定。結局、このエネルギー問題に解決策はないというのが答えなのである。

科学者である著者は、科学の力でこの未曾有の危機を乗り切ることはできないと云う。
「わたしたちはもうダメだと思います。」(202ページ)
これまでずっと危機的状況を書いてきて、最後の結論が「もうダメ」とは、凄いな。普通、嘘でも前向きな提言を一つでも出すものだけど、悪い事ばかり書いてオシマイとは。
「科学者は気休めは言えないのだよ。」という『ウルトラQ バルンガ』の奈良橋博士の言葉を思い出した。

こういう危機を再認識できて良かったと言えるが、どうもこの著者のスティーブン・エモットという人からは突き放したようなシニカルな姿勢が感じられる。真面目に書かれた本なのに何故かダークなユーモアがある。凄く底意地の悪い、まるで人類のことは他人事のような冷酷さ。そこが面白かった。傑作。


世界がもし100億人になったなら
マガジンハウス
スティーブン・エモット

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