ヴィクトル・ユゴーを読む5 『レ・ミゼラブル 第5巻』 第五部 ジャン・ヴァルジャン

小説『れ・ミゼラブル 第5巻』ヴィクトル・ユゴー著 鈴木朔訳 新潮文庫 1967年9月25日発行 2013年1月25日45刷
2015年6月6日(土)読了

(注意!)ネタバレあり

この大長編もこの第5巻にておしまい。仕事が忙しかった時期に重なったので全5巻読了までに1カ月以上かかってしまった。でも、読んでよかった。滅法面白い小説だった。
さて最終巻である第5巻もユゴーの筆は全く衰えることはなく、波乱万丈の物語が展開する。いや、むしろこの巻が一番テンション高く熱い巻なのではないか。
ちなみにこの巻は第五部ジャン・ヴァルジャンである。やっと主人公の名を冠したタイトルの登場だ。

バリケードに立て籠もった若者たちが悉く殺されていく描写が凄い。少年ガヴローシュも例外ではない。もう最終巻だということで今までの登場人物を容赦なく始末していく感じ。唯一、マリユスだけが、ジャン・ヴァルジャンにバリケードから助け出され九死に一生を得る。その際、ジャン・ヴァルジャンが彷徨うパリの下水道の描写も凄い。先の殺戮戦といい、派手な見せ場の連続である。加えてユゴー先生の薀蓄話つきなのもいつもの通り。

そのあとにジャヴェールの自殺という衝撃的展開。権力に従い、悪を憎み、潔癖で頑なな信念を持つジャヴェールが、ジャン・ヴァルジャンに命を助けられたことによって、善と悪が決して彼が思っていたようにはっきりと分けられないことを知る。それは、ジャヴェールの思想的敗北であった。完全な説得力とまでは言えないが、ジャヴェールの心理は分かるような気がする。

そして、ジャン・ヴァルジャンも死ぬ。こちらもジャヴェール以上に唐突感は拭えないが、マリユスとコゼットが結婚したとあっては、もうこうするのが、物語の大団円にふさわしいのは確か。病名とかはっきり書いていないけど、瀕死のマリユスを背負って地下道を逃走したり、無理をしたのが祟ったか。

上手いな、と思うのは、ラスト前にマリユスのところにテナルディエが現れ、ジャン・ヴァルジャンのことを告発にくるくだり。テナルディエは、持ち前の悪人ぶりを発揮してジャン・ヴァルジャンを貶めようとして来たのだが、結果は全く逆で、マリユスは、ジャン・ヴァルジャンこそ英雄で聖人であることを知るのである。悪人の恐喝で真実が分かるという真に皮肉な展開が実に面白い。
このテナルディエをユゴーは要所要所で実に巧妙に使っている。

全5巻読了して非常に感慨深い。150年経っても人気が衰えないのもよく理解できる面白さである。時に横道にそれる薀蓄癖、演説口調には辟易することもあったが、それはそれでこの小説の魅力一つと思うようになった。
確かに訳者が解説で言うように「面白すぎるきらいがある」小説である。でも面白すぎるのは大いに結構だと思う。これが文学か娯楽小説かの区分けもぼくにはどうでもいいことである。これだけ楽しませてくれたことをヴィクトル・ユゴーに深く感謝するばかりだ。
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