ヴィクトル・ユゴーを読む4『レ・ミゼラブル第4巻』第四部プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩

小説『レ・ミゼラブル 第4巻』ヴィクトル・ユゴー著 佐藤朔訳 新潮文庫 1967年8月20日発行 2012年11月30日45刷改版
2015年5月31日(日)読了

(注意!)ネタバレあり。登場人物の生死についても書いていますのでこの小説を未読の方は以下の文章を読まない方がいいと思います。

この大長編もいよいよ佳境に入った。ジャン・ヴァルジャンは老いてしまい、ただコゼットを見守って静かに隠遁生活を送るばかり。出番も少ない。代わって主役を務めるのは21歳の若さを誇る男マリユス。
どうもこのマリユスという人物にさほど人間的魅力を感じないんだよなあ。従って彼が主人公になったこの第4巻(第四部)は些かシンドイ。

第四部のタイトルは、「プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩」である。プリュメ通りというのは、ジャン・ヴァルジャンとコゼットが隠れ住んでいる家がある場所、そこでマリユスとコゼットは恋に落ち、連夜、二人は逢引き(死語?)を重ねることとなる。一方のサン・ドニ通りというのは、若者を始めとした民衆が政府に反旗を翻し、立ち上がり、バリケードを気付いた場所。その対比の妙よ。
考えてみれば、この長編で恋愛が正面切って描かれるのはこれが初めて。ユゴー先生、結構ノリノリで書いていて非常に面白い。今まで自分のことをブスだと思って鏡をろくに見ようとしなかったコゼットがある日、鏡を見たらアラ不思議、美人になっている自分を発見というくだりが楽しい。
考えてみれば、この長編で民衆の決起みたいな場面が描かれるのはこれが初めて。今までは、ジャン・ヴァルジャンを初めとして個人にスポットを当てて来ていたが、ここで一気に視野を広げた感じ。この辺もユゴーが実に力を込めて書いているのが感じ取れる。

マリユスに魅力を感じなくても大丈夫、他の登場人物のエピソードが面白いから。愈々群像劇としての面白さが増してきた。それにユゴーは、この巻辺りでかなり積極的に登場人物の非業の死を描いている。
エポニーヌ、マブーフ氏が壮絶に殺されるくだりにその辺がよく表れている。クライマックスだからより派手にとハッタリが効いている。
エポニーヌがマリユスにその思いを告げて死んで行くとか、今でも真似したくなるような劇的効果満点のシーン。娯楽小説としてのお手本の様である。
本好きのマブーフ氏が老いて生活に困窮し、ついにとんでもない末路を迎えるというのも泣ける。
あとはなんといっても少年ガヴローシュの存在がこの小説を明るくしてくれる、彼がいなかったら、シリアスすぎて重すぎて読みづらかったろう。

第4巻のラスト、死を覚悟してバリケードの立て籠もったマリユスはどうなる?コゼットはマリユスと再会できるのだろうか?ジャン・ヴァルジャンはどうなる?若者たちに捕えられたジャヴェールは?と思わせておいていよいよ最終巻である第5巻に続くというのは誠に心憎いばかりである。
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