『寄生獣 完結編』 地球上の誰かがふと思った

映画『寄生獣 完結編』2015年 東宝配給 原作:岩明均 監督・脚本・VFX:山崎貴 脚本:古沢良太 出演:染谷将太 深津絵里 阿部サダヲ 橋本愛 新井浩文 岩井秀人 山中崇 ピエール瀧 豊浦功補 大森南朋 北村一輝 國村隼 浅野忠信 上映時間118分
2015年4月25日(土)公開
2015年4月29日(水)鑑賞 TOHOシネマズ西新井スクリーン4 13時50分の回 座席C-13 入場料1800円(当日券)

(注意!)ネタバレあり

『寄生獣』二部作、ここに完結。前編同様、こちらもかなり面白く見た。その「面白さ」の中には、原作マンガと比較してあれやこれや思い巡らす面白さもあるので、普通の映画の愉しみ方と少し違う。それだけ原作を愛しているということでもある。ただし愛していると言って決して「原作をそっくりそのまま再現せよ」という考えは毛頭ない。マンガが実写映画になった時点でこれは別物と見て当然だと思う。
ただ、それにしても結構大胆に原作を作り変えたものだ、と驚き、感心し、少しガッカリした。
原作をそのまま映画にしたらこの二部作の2倍の長さ位は優に必要となる。従ってダイジェストにならざるを得ない。あれも入れたいこれも入れたい、と細切れ的になる。そこで脚本の古沢良太・山崎貴は、原作の重要シーン、重要人物をバッサリ切り捨てる手を使った。
人物で言えば、加奈という女の子は影も形もない。若い女性は、村野里美だけにしたことによって泉新一との関係描写が深まったからこれはこれでいいのかも。その伝でいくと、原作の後半に出てくる老女も出て来ず、里美がいわばその代わりを務めているのも当然か。主人公を助けるのはヒロインという王道描写。そこに新一と里美のセックスを持ってきたのは上手いやり方だと思う。
シーンで言えば、主に原作のスプラッターなところはバッサリやられている。グロ度大幅減である。レイティングを考えてそうしたのだろう。理解はできるが、ちょっと物足りない。
例えば、三木が暴力団事務所に殴り込みをかけるシーンは、事務所に入るところまでであとは具体的に描かれない。一番大がかりな福山市市役所の戦いも部分的には描かれるが、肝心の後藤と特殊部隊の凄惨な戦いは全て省略。あそこは見たかった。ただ、あれを原作に忠実にやるとレイティングを上げなきゃ無理だ。
田宮良子が仲間のリンチに遭いそうになるシーンは、一瞬で片が付くので呆気にとられた。こういう所で尺を取らない、という姿勢が明確だ。
その分、田宮良子と倉森の話、とくに公園でのシーンはかなり原作に近づけてじっくり撮っている。意外にこういう所が上手いのが山崎貴なのである。勿論、演じる深津絵里の上手さもあるのだが、この「愁嘆場」、盛り上がる。知らないうちに涙を流してしまった。

クライマックスの後藤と新一の戦いは原作と場所を変えて面白く見せている。原作では単なる違法ゴミ捨て場だったのが、時代を反映してか、放射能ガレキの処理場に変わっている。ここは見ごたえある。山崎貴のVFXの見せ場でもある。寄生獣・後藤の断末魔の異様な姿を見せるシーンは今の日本のVFXがここまで来ていることを示している。
このくだりで後藤が、「寄生獣を望んだのは人間だ」みたいなことを言うのが注目に値する。「人間の数が増えて困るのは人間だから我々がやっている」と。
原作の冒頭にある「地球上の誰かがふと思った」というフレーズの誰かとは人間だったのか。原作はこんなにハッキリ答えを出していなかった。山崎貴が出した回答がこれか。面白い、実に面白い。

全編にわたって泉新一をよく演じきった染谷将太が素晴らしい。ミギーの声の阿部サダヲは達者だけど、非人間的な怖さが感じられない。逆にコミカルさも弱い。そもそも原作にはもっとユーモアがあった。新一とミギーのやり取りなど特に。その辺も映画からはあんまり感じられない。原作のユーモアのセンスって結構独特だから映像にして面白いかどうかはわからんが。それにしても後藤がピアノ弾くシーンでパンツ一丁じゃなくてスーツ着ていたのはガッカリだ。

橋本愛のベッドシーンは初めてか。裸の背中が見える位でヌードには程遠いが、いずれ全裸で激しいセックスするような映画を見せて欲しい。若いうちに。

色々と細かい不満はあれど、とにもかくにもあの原作が映画として完結したことを喜びたい。

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