松本清張を見る1 『松本清張 黒い画集━草━』 貴婦人として死す

ドラマ『松本清張 黒い画集━草━』原作:松本清張 脚本;深沢正樹 監督:倉貫健二郎 出演:剛力彩芽 村上弘明 陣内孝則 笹野高史 横山めぐみ 岡田義徳 かたせ梨乃
2015年3月25日(水)テレビ東京にて放送・鑑賞

(注意!)ネタバレあり。

一人の男が、薬物の大量摂取のため、救急車で病院に運ばれる。男の名は、沼田一郎、スコッチ出版というミステリー小説の出版社の経営・編集および小説の翻訳を行っている。男は、そのまま病院に入院することとなる。
男の入院と前後して病院では不穏な事態が進行していた。

原作は未読。白紙の状態で見ることが幸いしてか、非常に面白く見ることができた。原作は短編小説だということだが、これを機に読んでみたい。多分、ドラマは原作をかなりアレンジしているのではないかと想像するのだがどうだろう。

沼田一郎に村上弘明、その娘に剛力彩芽、事件を捜査する刑事に陣内孝則というキャスティング。冒頭からこの三人の演技がいかにも大仰でハッタリが効いていて面白い。村上弘明は、どうにも挙動は怪しく、ただの入院患者じゃないぞという匂いがプンプンするし、父の入院でいやに取り乱してみせる剛力彩芽もやりすぎだし、偏屈な嫌われ者のはぐれ刑事の陣内孝則もいかにもそれらしく型通り。
こういうのはわざとらしいくらい大仰の方が効果が上がる。何が起こるのか期待をつなげる。

事件は、病院の薬剤師が自殺に見せかけて殺されたのに加え、院長と女性看護師長の失踪という流れになる。そして病院内に流布されるいくつかの噂は真実なのか否か。
というような展開でいかにも普通の殺人もののようではあるのだが、ちょうど1時間を過ぎたあたりで、非常に重大なネタばらしがある。ここで沼田一郎、および娘の正体が明かされる。
ああ、そういうことか。よくある手ではあるけれど、まさかこのドラマでこの手が使われるとは微塵も思わなかったのでビックリ。とても面白い。
だが、同時に話の方向性が見えてしまったので底が割れた感じも強い。難しいところである。
そのためか、クライマックスでの真犯人が判明するくだりがいまいち盛り上がらない。あまり意外性がない。

自分の命の危険も顧みずに事件解決に邁進する沼田一郎という男のキャラがよく描かれていて見応えがある。かなりハードな生き方なのだが、昔死んだ仲間への負い目があるという感傷性もミックスされていて上手い。陣内孝則の刑事も昔、仲間を死なせたという負い目があるというダブルの負い目合戦。よくやるよ、とは思うがこういうの嫌いじゃない。

タイトルの「草」に引っかけて、草が犯人逮捕の決め手になるというのはどうもとってつけたようであまり感心しない。それよりも沼田一郎が、毒と分かっていてあえて飲んでしまうくだりが面白い。まさに命懸け。

沼田一郎は、翻訳家だけあって入院中でも読書に励んでいる。読んでいるのは、カーター・ディクスン(ジョン・ディクスン・カー)の『貴婦人として死す』の原書。何故、この本なのか。松本清張の原作にあるのかな。
残念ながら、『貴婦人として死す』を読んでいない。この機会に読んでみようという気になった。

村上弘明、昔の精悍な感じに加えてちょっとやつれた感じが出てその二面性がとてもいい。剛力彩芽、初のアクションとか言われて期待したのにクライマックスのほんの一瞬でおしまい。残念。
笹野高史、あいかわらずいい演技。『ニンニンジャー』とは一味も二味も違う、役者やのぉー(古いか)。

2時間ドラマもこのくらい楽しめればまずは満足。


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