『相棒 シーズン13 第16話鮎川教授最後の授業・完結編』 胎児の復讐

ドラマ『相棒 シーズン13 第16話鮎川教授最後の授業・完結編』脚本:輿水泰弘 監督:和泉聖治
2015年2月18日(水)放送

(注意!)ネタバレあり

鮎川教授が、「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いを投げかけ、杉下右京ら教え子を拉致監禁した前回から一転、ガラッと変わったストーリーになる。鮎川教授は猟銃で殺そうとした女性(家政婦として2年間一緒に暮らした)によって正当防衛で逆に拳銃で射殺される。事件は一件落着、ではあるけれど、杉下右京は事件の真相に迫っていく。そこで明るみに出された真相とは。

実は家政婦の女性・御堂黎子(石野真子)は、鮎川教授(清水綋治)が大学時代の恋人の子供だった。つまり二人は父娘。、黎子は昔母を捨て、胎児だった自分を殺しかけた(堕胎しようとした)鮎川教授に殺意を抱き、彼に近づいたのだ。別れた後に子供が生まれたことを知らなかった鮎川教授ではあったが、黎子が娘であり、自分に殺意を抱いていることに気付く。そして、鮎川教授は、黎子に自分を殺すように仕向けるために毒薬を購入し、これ見よがしに並べて見せたりする。だが、黎子は実行には移せない。業を煮やした教授は、遂に強硬手段に出る。教え子の拉致監禁という状況に黎子を巻き込み、生きるか死ぬか、殺すか殺されるかという立場に追い込んで自分を殺させようとして見事に殺されたというのが真相。

と、書いていくと如何にも荒唐無稽でありえない話に思える。だがそこが面白い。そこがまさに『相棒』の真骨頂。
それにしても「胎児の時に殺されかかった」怨みのために復讐というのが凄い。そういう考え持つものかな。
もっとわからないのは、鮎川教授の方だ。昔捨てた女性と彼女が生んだ子供への贖罪の念から自分が殺されようとしたのだろうか。いや、どうも贖罪とは思えない。書斎のケースに並べられた毒薬の数々、しかも毒物・毒薬の本までずらり並べて見せるってどう考えても贖罪ではなく単なるゲームとして遊んでいるようにしか思えない。女性に殺されるというのはある種のマゾヒストの夢だろうが、教授の場合は女性を追い詰めていたぶるサディストにしか見えない。そもそも教授を殺したら黎子は殺人犯となり、罪を償わねばならなくなる。今度のように正当防衛が認められたとしても彼女は「仇を討った」という気持ちよりも「人を殺した」という気持ちを死ぬまでも持ち続けなければならない。何という地獄。
拉致・監禁という異常な行為をする前回よりも今回暴かれた真相の方が鮎川教授のサイコパスな恐ろしさが強調されていると思う。自分が死んだあとも娘を苦しめようとする悪意の凄さ。

だが、鮎川教授以上に恐ろしいのは、杉下右京(水谷豊)である。全ての真相を解明したあとで、「ここからが本題です」と切り出したのが、黎子に殺意があったかなかったか、の問題。「なぜ人を殺してはいけないのか」に匹敵するような難問だ。教授に猟銃を突き付けられ、拳銃で教授を撃った時、黎子にあったのは、「自分の身を守らねば」という気持ちなのか、「ここでなら殺せる」という殺意なのか。それは大きな違いであると、杉下右京は実に執拗に黎子を問い詰め追い込んで行く。杉下右京は神か、悪魔か。
行為自体を見れば、正当防衛以外の何物でもないが、どうあっても真相を追求せずにはいられない杉下右京の暴走は止められない。やがて黎子は、「殺意があった」と認めてしまう。
社美彌子(仲間由紀恵)は、「あれは(杉下右京の)暗示だった」と正面切って杉下右京に言う。絶対的正義の主、杉下右京に反論できる人間がいるというのも『相棒』の良さ。
今後の展開、シーズン14も楽しみ。

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