『世界の中心で愛を叫んだけもの』 少年は犬を愛するものさ

SF(短編集)『世界の中心で愛を叫んだけもの』ハーラン・エリスン著 浅倉久志、伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫
2015年1月30日(金)読了

(注意)ネタバレあり

短編集。15編収録。玉石混交。どこが面白いのかサッパリの作品も多い。思ったよりもつまらない作品が多い。けれどいくつかはとんでもなく面白い作品もあるのでそれで相殺といったところか。つまらなかった作品、こちらの理解が及ばない作品については一切触れず、面白かった作品について書き残しておこう。

『101号線の決闘』1969年
面白い。もうこのまま映画にした方がいい作品。高速道路上での決闘が合法化された未来社会、男たちは兵器を搭載した自家用車で殺しあうという楽しい話。『デスレース2000年』とか『激突!』とか思い出した。こういう正面切ったバトル物はエリスン、上手い、

『不死鳥』1968年
失われた大陸を求めて旅立った主人公たちは、遂に失われた大陸の壮大な都市を発見する。その都市の名は、ニューヨーク市。その都市は核戦争で滅びたらしい。仲間に死なれ一人になった主人公はこの発見を伝えるためにアトランティスに帰ることを決意する。
オチが全て。何だか『猿の惑星』みたい。今じゃ単純すぎてこのオチで締めくくる作家はいないだろう。そこが逆に味になっている。

『星ぼしへの脱出』1957年
ヤク中でコソ泥のチンピラ男が無理矢理体内に超強力爆弾を埋め込まれて異星に放り出される。人間爆弾となった男は、異星人たちを殺戮しながら自分の同胞の地球人への復讐心にも燃えていた。
面白い。傑作。中東での自爆テロが頻発する今読むと余計に面白味が増す。やっぱり人間爆弾にするには人選を誤ってはいけないということか。敵を殺すよりも味方を殺しかねない奴は怖い。なにしろ惑星一つ吹き飛ばすような強力爆弾だから。話が進展して行ってラストではトンデモナイことになるのも楽しい。これもこのまま映画化出来そう。主人公がアンチヒーローなのもいい。

『満員御礼』1956年
突然、地球にやって来た異星人たち。彼らはどうやら俳優らしい。彼らはニューヨークのど真ん中で無数の群集の前でパフォーマンスを繰り広げた。全く言葉を発せず、体の動きだけで表現するそのパフォーマンスは地球人を魅了した。だが、6年後、パフォーマンス中に異星人たちに異変が・・・。
異星人が地球に来る理由はさまざまだが、こういうのは珍しい。よくぞ思いついたという感じ。ラストの残酷なオチも見事。

『少年と犬』1969年
名作中の名作。傑作中の傑作。初めて読んだのは『SFマガジン』で中学生の頃だった。もう40年以上昔だが、その感動は今も生々しい。そして、今回久々の再読だったわけだが、やっぱりこれは素晴らしいとしか言いようがない。
核戦争後、暴力に支配された世界という舞台も魅力的だが、主人公の少年、テレパシー犬、美少女という組み合わせもいい。主人公の一人称で語られる話の臨場感あふれる面白さ。暴力描写もセックス描写も古くなっていない。そして、何よりも感動のラスト!

彼女の声は、何回も何回もおなじ質問をくりかえしていた。愛って何か知ってる?
ああ、知ってるとも。
少年は犬を愛するものさ。
(『少年と犬』より引用)
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