『相棒シーズン13 第12話 学び舎』 月がきれいですね

ドラマ『相棒シーズン13 第12話 学び舎』
脚本:藤井清美 監督:橋本一
2015年1月21日(水)放送


(注意)ネタバレあり
面白かった。大学教授が殺され、動機は大学経営を巡るトラブルみたいなありふれたものかと思いきや、意外な方向に話が進み、意外な犯人、意外な動機が明かされる。それ以外にも色々ネタが仕込んであって飽きさせない。さすが、『相棒』である。

ネットで一時騒がれた若者によるいたずらを題材にして無理なく取り込んでいるのが上手い。犯行現場周辺が若者たちに荒らされているのが、まさかチェスタートンみたいな「木は森に隠せ」方式の証拠隠しとは思わなかった。

さらに夏目漱石の伝説的な「月がきれいですね」のエピソードの新事実が語られるというのも虚実は別にしてなかなか愉快。生物学の教授が漱石に知識があったというのも何だかいい話。だが、それが回り回って殺人に繋がっていくというも『相棒』らしい皮肉な話。
教授もあの女子学生にちゃんと「大発見」のことを教えてあげればよかったのに。そしたら悲劇は防げたかもしれない。ま、そこはアイ・ラブ・ユーと言えない日本人ならではの行動だろう。回りくどすぎるけどね。

意外性はあるけれどちょっと動機が弱い感じがする。衝動的犯行ということなのか。それにしては、証拠隠しの方は知能犯的。ただ、そのあといかにも不自然な態度で杉下右京に見抜かれるのだが・・・。単純に考えれば、「メガネ買えよ」、と思うのだが、今どきの学生はお金ないらしいから、これが結構リアルなのかもしれない。

女子学生役の早織がいい。元の芸名・小出早織の方が馴染みがある。いかにも真面目そうでちょっと頑なな感じがとてもよく出ていた。

ラストが素晴らしい。教授を殺した犯人が警察に逮捕されて連行される途中に一人の人物とすれ違う。犯人とその人とは面識がない。だが、その人物は教授に出会うことによって学問に目覚めてホームレス生活から脱しようとしている人だった。片や犯人は、教授を殺したことによってあれほど熱望した学問の道を自ら閉ざしたのだ。何という人生の皮肉。これをセリフやナレーションに全く頼らず映像で見せて分からせてしまうのが凄い。いかにも『相棒』らしい洗練された残酷さが心に残る名シーンである。

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