「ぼくのつくった魔法のくすり」 お年寄りは大切にしないようにしましょう

小説(児童文学)「ぼくのつくった魔法のくすり」1981年 イギリス ロアルド・ダール著 宮下嶺夫訳 評論社 ロアルド・ダールコレクション10 2005年4月30日初版発行
2014年1月22日(水)読了

タイトルからすると、天才少年がトンデモない薬を発明してしまってそれがもとで彼の住んでいる町の住民はてんやわんやの大騒ぎ、みたいな愉快でハートウォーミングなコメディを想像するのだが、皮肉屋ダールがそんなありきたりで無害なオハナシを創るはずもなく、見事に毒素いっぱいの激辛の児童文学になっている。本当に子どもに読ませて大丈夫か、と柄にもなく心配したくなるけれど、むしろ子どもは喜びそうだ。

8歳の少年ジョージは、パパとママとグランマ(おばあさん)と四人暮らし。ジョージは、このグランマが大嫌い。我儘で意地悪で口が悪くてぼくをいじめるから。よーし、仕返ししてギャフンと言わせてやるぞ。
そんな動機でジョージは、家中の色々なものを使って彼だけの特別な薬を作ることにする。さあ、この薬を飲んだグランマがどうなるか楽しみだなあ。
子どもが読んで真似して変な薬を作ったらどうするんだ!と良識的な人なら怒り出すようなストーリー。だけど全体的に誇張されたコメディタッチで描かれているから笑って楽しめる(ま、人によるけどね)。
で、薬を飲んだグランマは、どういうわけか背がどんどん伸びて行ってついには家の屋根を突き破るほどの身長になってしまう。この辺は、ルイス・キャロルの「ふしぎの国のアリス」を彷彿とさせる。まあ、あっちは可愛い女の子が薬のせいで大きくなったり小さくなったりするエロティックさがあったけど、こちらは年寄りの可愛げのないおばあさんだからエロティックではなくグロテスク。
「お年寄りは大切に」という建前を蹴飛ばす極悪非道ぶりはさすがダールである。
その後の展開も意表をついて面白いのだが、クライマックスからラストにかけてが特にいい。徹底した老人いじめの話ではあるのだが、ラスト3行に感動させられる。8歳の少年が初めて知った人生の真実とでも言おうか。

それにしてもグランマはどうなったのか?リチャード・マシスンの「縮みゆく人間」みたいにまだ生きているんじゃないだろうか。
ぼくのつくった魔法のくすり (ロアルド・ダールコレクション 10)
評論社
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