「輝く断片」 ノイズを止める

小説(短編集)「輝く断片」アメリカ シオドア・スタージョン著 大森望編 河出書房新社 奇想コレクション 2005年6月30日初版発行
2014年2月2日(日)読了

日本オリジナル編集の短編集。8編収録。帯に「シオドア・スタージョン ミステリ名作選」とあるが、実際に読んでみると所謂狭義のミステリの藩中から外れた作品が目立つ。他の作家が書きそうにないいかにもスタージョンらしい作品と言えようか。それ以外にもSF、ファンタジー系の作品もあり。簡単に8編の感想を書いておく。

「取り換え子」(1941年)
子育てをテーマにしたユーモラスなファンタジー。スタージョンってこういう傾向の作品も書いているのか、という興味はそそるが取り立てて面白いわけでは無い。

「ミドリザルとの情事」(1957年)
これは何が面白いのかよくわからなかった。

「旅する巌」(1951年)
人間嫌いの作家とエージェントの話。出版界の裏話かと思い読んで行くと話はあらぬ方向へ進んで行ってしまう。まさか宇宙人の超兵器が登場するSFになってしまうとは思いもしなかった。ちょっとスティーヴン・キングの「トミーノッカーズ」を思い出した。

「君微笑めば」(1955年)
これも全く先が読めない話。一人の男が秘密裡に行われている連続殺人の存在に気づき、そのことをもう一人の男に話して行くうちに意外な方向に話が展開する。サイコ・ミステリでもあるし、超能力者が登場するSFでもある。
ある種の人間の発するノイズに感応してしまう超能力者がいて、ノイズの主を抹殺していたというのがユニーク。そのノイズの主は、「怒りを感じることができず、他人をおとしめて恥をかかすことに楽しみを見出す。」タイプの人間だそうだ。「他人をおとしめて恥をかかすことに楽しみを見出す」人間なんてインターネットの世界にはゴロゴロしている、約60年前に書かれた作品なのに実に現代性がある。傑作。

「ニュースの時間です」(1956年)
これもサイコもの。異常な男の異常な話なのだが、今読むと不思議にリアリティーがあって空恐ろしくなる。
新聞、ラジオ、テレビで報じられるニュースを律儀に毎日欠かさずチェックしていた男が、妻によってそれらを禁じられた時、男は家を出て人里離れた場所に一人引きこもる。そこに精神科医が訪れる。そこで明かされる男の真意とは。
インターネットによって供給されるニュースが膨大に増えた現代の方がこの話は理解しやすい。傑作。

「マエストロを殺せ」(1949年)
非常に凝ったつくりのミステリ。これもサイコもの。でも残念、そんなに好きにはなれなかった。

「ルウェリンの犯罪」(1957年)
善良だが、頭のよくない男。奇妙なラブストーリーとしても読める。

「輝く断片」(1955年)
路上に倒れていた女は、暴力によって瀕死の状態だった。その見知らぬ女を家に連れ帰り、治療し看病した男の苦労のかいあって女は元気になる。だが・・・。
ボーイ・ミーツ・ガールの典型的な話もスタージョンにかかると異様で悲惨な結末を迎える。それにしても「ニュースの時間です」「マエストロを殺せ」「ルウェリンの犯罪」そしてこれといずれも出てくる男は思い込みが激しく独善的な考えに固執して他人とのコミュニケーションがきちんと取れない奴ばかり。で、犯罪が絡んでくる。
正直、またかと思わないでもないが、立て続けに読むとその迫力に圧倒されてしまう。スタージョンは恐ろしい作家である。
輝く断片 (奇想コレクション)
河出書房新社
シオドア・スタージョン

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