「ゲド戦記Ⅴ アースシーの風」竜の子

小説「ゲド戦記Ⅴ アースシーの風」2001年 アメリカ アーシュラ・K.ル=グウィン著 清水真砂子訳 岩波書店ソフトカバー版 2006年5月10日第1刷発行 2006年6月26日第5刷発行
2014年1月14日(火)読了

「ゲド戦記」もこのⅤ巻にて実質的に終了。あとは別巻という外伝はあるのだが、本筋の話ではない。
ゲドは老い、相変わらず魔法の力は失ったまま。出番の少なかったⅣ巻にも増してこのⅤ巻ではほんの少ししか出てこない。しかも他の登場人物たちが冒険の旅に出ているのに一人で家で留守番という有様。いつか、ゲドの魔法が復活して大活躍するのでは、と期待していたのだが、最後の最後まで何も起こらず終わりとは意外だった。非常に影が薄い。
若いころの能力をなくしてからはただ老いていくばかり、というのは人の世の常とは分かっていてもフィクションだから違う展開を期待してしまう。だが、ル=グウィンは甘くない。そこがユニークなところではあるのだけれど。

話としては、Ⅳ巻の続きで成長したテハナーを軸にその母テナー、国王レバンネンらお馴染みの人々の冒険の旅が描かれる。さらにこの期に及んで新キャラを出してきて、いかにも最終巻にふさわしい大盤振る舞い。
竜の化身であるアイリアン、レバンネンと婚約する異国の王女、そして妻を亡くした男ハンノキ、彼らの様々な思いが描かれる。
ところが登場人物を多くした弊害が出てしまったというべきか、なんだか中心が無いようでどうも読んでいてしっくりこない。本来ならこの巻は、テハヌー主体の巻にした方がすっきりしたのではないだろうか。そうなっていないのでどうもぼやけた印象を抱いてしまう。
従って派手なクライマックスの後のテハヌーの運命を描くところが盛り上がらない。
Ⅰ巻からⅣ巻までは非常に傑作だと思うのだが、さすがにこのⅤ巻は息切れか。それでもこのシリーズをきちんと締め括ってはいる。終り方としては上手いとは思う。それだけに惜しい作品になっている。
ゲド戦記 5 アースシーの風
岩波書店
アーシュラ・K. ル・グウィン

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