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zoom RSS 「のぼうの城」 ぼくはお城の王さまだ

<<   作成日時 : 2012/11/18 23:59   >>

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映画「のぼうの城」2012年 日本 配給:東宝 監督:犬童一心 樋口真嗣 原作・脚本:和田竜 出演:野村萬斎 榮倉奈々 成宮寛貴 山口智充 上地雄輔 山田孝之 平岳大 前田吟 中尾明慶 尾野真千子 芦田愛菜 谷川昭一郎 西村雅彦 中原丈雄 鈴木保奈美 平泉成 夏八木勲 市村正親 佐藤浩市 上映時間145分
2012年11月11日(日)鑑賞 TOHOシネマズ西新井スクリーン10 13時50分の回 座席B−8 入場料1300円(前売り券) パンフレット700円

なかなか面白い映画だった。傑作とまでは言えないが、145分という上映時間の長さが気にならず最初から最後まで楽しく観ることが出来た。それだけでも大したものである。

和田竜の原作は未読なので具体的にどのような話なのかは知らなかった。映画館で頻繁に流れていた予告編から類推すると、結構笑えそうなコメディタッチの時代劇みたいなものか、と思った。
さらに「この男の奇策、とんでもないッ!」なんていう新聞の広告のキャッチコピー(11月2日 読売新聞夕刊)も頭にあったので、どうやら奇矯な性格の主人公が次々に奇策を繰り出して敵をやっつける内容だな、と予想をつけた。

実際にシネコンに行き映画を観てみると思い描いていたものとは少し違うものであった。やっぱり観てみないとわからんものだなあ、と思う。

確かに風変わりな主人公による時代劇で少しコメディタッチではあるが、それはこの作品のすべてではない。大スぺクタルと言いたいような見せ場もたくさんあるし、激しい戦闘シークエンスもある。その中には、人の頭がぶち切られて血が噴き出すというようなスプラッタ・シーンもある。決して笑わせるためだけの軽い映画ではない。
だが、予告編や広告ではあえてそのようなハードでダークなところはとりあげずあくまでも軽妙で面白そうなところを打ち出している。
それは、この作品の中での川を決壊させるシーンが去年の東日本大震災の津波を彷彿とさせる、ということで公開が一年延期になったことが関係しているのかもしれない。

話の中心は小さな城を巡る攻防戦である。大部分の時間をその攻防を描くことに費やしているのがこの作品の成功の一因だろう。変に視野を広げず、焦点を絞った作り方が非常に上手い。しかも、敵味方のやり取りがいかにもゲーム感覚みたいに見えるのが面白いところ。いかようにでも「泣かせ」たりして盛り上げることは可能なのにあえてそういう人間ドラマは排しているのが目を惹く。
そもそも、この城を巡る戦いはやらなくてもいい戦いなのである。城主が敵に内通している出来レースなのだ。ところが、城主の留守中に城代である成田長親(なりた ながちか)がまったくの独断で開城を拒み、戦うこととなる。
その理由は、「いやなものはいやじゃ」だからである。この突拍子の無さがいい。敵に追い詰められての背水の陣ではなくただ気分的に乗らないから、「戦います」というわけだ。
史実をもとにしているということだが、こんなユニークな人物、設定をよく見つけてきたものだと感心する。
成田長親を演じる野村萬斎の圧倒的な好演を得てこのつかみどころのない人間が見事に生きている。「敵も味方も魅せられている」と作中で評される奇想天外な言動が面白い。珍しくもシネコンの客席から何度も笑いが起こった。
ただ、観る前に予想したようにこの主人公が戦術の天才で奇策を次々繰り出す、というのは当てが外れた。戦術は、配下の武将が創案し、実行するものであり、主人公は別に何らの具体的な戦術があるわけではない。ただ、人心を掌握する術は心得ていて、その方面の「奇策」は自ら実行する。ここが後半の大きな見せ場になっている。

百姓と侍が一致団結して外敵と戦う、という話の展開は当然ながら黒澤明の「七人の侍」を思い出させる。百姓たちが田植え歌を歌うくだりも「七人の侍」だし、百姓の中に女房を侍に手籠めにされた者がいるというのも少し状況が違うが、「七人の侍」の土屋嘉男を思い出す。
戦闘シーンは、ジョン・ウーの「レッド・クリフ」の影響大で、スプラッタシーンはスティーヴン・スピルヴァーグの「プライベート・ライアン」ばり。そういう風に過去の作品からいろいろ取り入れているのが何だか微笑ましい。何度も躊躇なく取り入れるのはいいことである。露骨なパクリにならなければ。その辺の見極めが難しいが。

やらなくてもいい戦いを無理やりやらされても百姓も侍もみんな城代の成田長親を慕っているので文句が出ない、というのも考えてみればユニークである。死んだ者もたくさんいるのだから、その遺族が怒りを爆発させるシーンを作って話を盛り上げるというのは常道だがそういうのがまるでない。この辺もなんだか「ゲーム感覚」という気がする。成田長親に反抗的な百姓も出てくるが、結局最後では協力的になる。甲斐姫(榮倉奈々)の恋も実らぬままで終わり。本当にどうしてこの辺の話を膨らませて盛り上げないのか不思議なくらい淡白である。作り手が人間ドラマに興味がない、としか思えない。

全編、面白く観たが、今書いたような作り手の醒めた感覚がいささか引っかかり大絶賛とまではいかなかった。
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