「文学賞メッタ斬り!2008年版 たいへんよくできました編」

ブックガイド(対談集)「文学賞メッタ斬り!2008年版 たいへんよくできました編」2008年 大森望 豊﨑由美著 PARCO出版 2008年5月24日第1刷
2012年10月6日(土)読了

「文学賞メッタ斬り!」シリーズの4冊目。1、2を読んだが3は手に入らなかったので4を読んでみた次第。1、2が面白かったのだが、これはあんまり面白いとは思えなかった。
大森望と豊﨑由美の悪口雑言にすっかりこちらが慣れてしまったこともあるが、そもそも今回のものは「たいへんよくできました編」というタイトルが如実に示しているようにすぐれた作品を極めて真っ当に褒め称えるところがやけに目立ち、相対的にいつもの罵倒芸がやや抑えめに感じられるばかりである。
取り上げられる本の膨大な量にとにかく圧倒された前のものに比べると、「2008年版」というタイトルが示しているようにほぼ2007年一年間に出された本限定なので数量的にぐっと減った感じでかなり物足りない。
加えて文学賞の選考委員の先生方をとことん槍玉に挙げておちょくっていたころと比べると、残念ながら選考委員の世代交代もあり、からかい甲斐のある人も少なくなり、パンチ不足の感は否めなくなった。
それに今まで歯に衣着せぬ辛口の毒舌家であると思われていた大森望と豊﨑由美がほんとうは本を心から愛する心の綺麗な人たちだということがわかってしまったということも何だかガッカリした。
あと、文学賞受賞式に普通に参加したりするところも正直幻滅、もっと孤高の人でいてほしかった。

でもそういうところを除けば、至極真っ当で色々と勉強になるすぐれたブックガイドであり、文芸評論である。変な面白さを求めるからいけないのであり、普通に読めば、何かと参考になる立派な本だ。


この記事へのコメント

この記事へのトラックバック