「高校入試 第1回」 悪意の集積

テレビドラマ「高校入試 第1回」脚本:湊かなえ 演出:星護 出演:長澤まさみ 南沢奈央 中尾明慶 徳山秀典 斉木しげる 篠田光亮 小松利昌 入江雅人 山崎紘菜 清水一彰 阪田マサノブ 羽場裕一 高橋ひとみ 山本圭 
2012年10月6日(土)23時10分~24時10分放送・鑑賞 フジテレビ

これは一つの実験である。ほかと同じようなテレビドラマを作ることを潔しとせず果敢に挑んだ問題作と言っていい。まだ第1回を観たばかりだが、これはテレビドラマ史に残る名作か、壮絶な失敗作かどちらかになりえるような予感がする。久々に次回の放送が楽しみな連続ドラマである。

小説家・湊かなえがオリジナル脚本に挑戦した、というのがこのドラマの一つの売りである。湊かなえのあの後味悪い嫌な世界が連続ドラマで展開されるとあれば大いに期待されるところだ。
第1回を観る限りではその期待はかなり叶えられたようだ。殺人のような派手な事件は何も起こらないが、ドラマ全体を支配している淀んだような嫌な「悪意」がもたらす緊張感はただならぬものがある。

単純に言えば、このドラマは学園ものである。だが、当世風にイケメンくんとアイドル女子のラブコメに仕立てるわけではなく、タイトル通り「高校入試」に的を絞った一見恐ろしく地味なドラマになっている。その反時代的というかひねくれもので天邪鬼な作り手の狙いは常軌を逸していてまったく私好みである。
キャストも長澤まさみを別としてあまりお客様の興味を引きそうな人気者は見当たらない。でも、これはこれでなかなか味なメンツを揃えたな、という気がしてうれしくなる。

「高校入試の日を取り上げた作品は見たことない。それなら自分が書いてみよう」というのが、この脚本を書いた
理由であると湊かなえは語っている。(「毎日新聞」2012年10月5日夕刊)

第1回は、ドラマの舞台である県立橘第一高校(通称一高)の入試数日前の様子を描きながら登場人物である一高の教師たちの人となりの紹介に終始し、ラストで入試前日に起きた小さな事件で締めくくる。そのラスト以外は本当に何も起こらず、教師たちのさして重要と思えない会話が続く。その辺で飽きてしまう人も出てくるだろう。
私も幾分退屈しながらもそれでもここで交わされる会話がどうにも不思議な異常さがあり、まるで不条理演劇の会話のように思えてきてだんだん面白くなってきた。会話のそこここに「悪意」が潜んでいるのも上手い。
それにしても回想シーンを一切挟まずに言葉のキャッチボールだけで乗り切ったのはさすがである。

単に会話だけでなく人物描写も上手い。
2013年3月という時代設定なのに2004年開催の国体のマグカップをいまだに使っている教師がいる、という描写は結構辛辣。高橋ひとみ演じる中年の女性教師が花柄のピンクの洋服を着ている辺りもどこか毒がある。
ある年齢以上になると、何故か花柄を着たくなる女性がいる、ということを具現化した底意地の悪さ。
一高出身の同窓会長や教師たちが高らかに校歌を歌うあたりの気持ち悪さも相当のもの。

さて次回からは本格的に入試になるようだが、よりいっそう嫌な感じのドラマになることを期待しておこう。
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