「81歳 山田洋次監督 映画をつくる」 東京家族

テレビ(ドキュメンタリー)「81歳 山田洋次監督 映画をつくる」制作:NHKエンタープライズ 制作・著作:KAFKA
 NHK ディレクター:鈴木和弥 語り:守本奈実アナウンサー 音楽:久石譲
2012年9月17日(月)9時5分~10時放送・鑑賞 NHK総合テレビ

9月に81歳になった山田洋次監督。彼にとって81本目の映画になる新作「東京家族」が完成するまでの140日間を追いかけたドキュメンタリー。山田洋次監督をはじめとするスタッフ、キャストの熱い思いがダイレクトに伝わってくる非常に優れたものになっている。

2012年1月、共同脚本の平松恵美子と山田洋次の打ち合わせから始まって、セリフの読み合わせを経て、本格的にクランクインしてロケ撮影、撮影所でのセット撮影の様子が映し出される。
まずは山田洋次監督の非常に丁寧な映画つくりに感銘を受ける。特に俳優に対する演技指導の細やかさには驚くばかり。こんなことまでやるのか、という感じ。役に人物がセリフを言うときにどんな心境であり、そのセリフにどんな思いを込めているのか、をいちいち山田洋次が説明し、自分でやって見せ、そのあと俳優にやらせて、さらにいろいろ調整をして直したりし、ついでに山田洋次がその場で思いついた脚本にはないアドリブのセリフを俳優に言わせる。もちろん、セリフのタイミングといったところにも神経を使う。
映像を重視するタイプの監督ではない山田洋次にとってはセリフでのやり取りを人一倍重要視するのだろう。物腰は非常に柔らかそうだが、確たる信念を持ち、梃子でも動かない頑固さも窺える。
出演者である妻夫木聡、蒼井優、吉行和子、橋爪功、小林稔侍、西村雅彦といった人たちの演技する姿が映し出され、総じて山田洋次監督はやさしく対応しているのだが、その中で唯一、小林稔侍にはやや厳しい声が飛ぶ。気心が知れているからだろうか。そうしたほうが良さが引き出せるということなのか。
 
山田洋次監督を支えるベテランスタッフである美術監督の出川三男や編集の石井巌が紹介され、その仕事ぶりが披露される。石井巌は編集の際、いまだにフィルムをはさみで切る、という。
そういうベテランだけではなく、若くて頑張っているスタッフも取り上げられる。助監督の一番下の青年はカチンコを打つ役目だが、時に失敗して監督に叱責される。それも修行。
この「東京家族」にかかわった通称「山田組」は総勢70人だという。映画はもちろん20人でも作れないことはないが大人数で作ることの意義もあると山田洋次は言う。
今の若い人は一生懸命に頑張っている、みんなフリーランスだから。山田洋次が映画界に入った際は、スタッフは全員映画会社の社員で給料をもらっていた身だったから余裕があった。今の若い人にはそれはない。
厳しい状況の若い映画人にエールを送る山田洋次の姿を見てるとこの前観たドキュメンタリーにおける高倉健の姿に何かダブるものがある。二人とも同じ81歳であり、生粋の撮影所育ちの最後の生き残りだからか。
もう一度、山田洋次と高倉健が組むことはないのだろうか。

「東京家族」はクランクアップし、また一つの映画が生まれた。早く観たいものだ。小津安二郎の「東京物語」を下敷きにした話だというこの映画がどんなものか早く確かめたい。
そして、その次もさらに期待しないではいられない。
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