「日本の戦争力」 パワー・プロジェクション能力(戦力投射能力)とは何か

評論「日本の戦争力」2005年 小川和久 坂本衛著 アスコム 2005年12月5日第1版第1刷 2006年2月10日第1版第5刷 2012年8月19日(日)購入 価格105円 BOOK・OFFパサージオ西新井店
2012年8月25日(土)読了

「目からウロコ!これが日本の実力だ!!
自衛隊にはそもそも海外で戦う能力がない!
アメリカは軍事戦略上、日本に頭があがらない!
日本は北朝鮮の暴走を抑止する「2つのシステム」をてにしている!
憲法を改正しない日本は、世界的にも非常識だ!」(帯より)

「戦争力」という聞きなれない言葉に惹かれて買って読んでみた。
奥付のクレジットには著者は「小川和久 坂本衛」となっているが、表紙等では「小川和久 聞き手坂本衛」となっている。小川和久の文章によれば、
「本書は、ジャーナリスト・坂本衛氏の発案で誕生した。坂本氏の問いに対して私が答えるかたちをとり、坂本氏がまとめた原稿に私が手を入れた。資料調べや脚注の作成は坂本氏がおこなった。その意味で、本書は坂本氏との共著である。」(20ページ)
だということだ。読みやすく分かりやすくを心掛けて「話し言葉」の文体にしてあるので私のような軍事知識の皆無な人間にもとっ付きやすいものになっていて面白くためになった。

中身は、まず自衛隊の成り立ちから始まって自衛隊の現有勢力、アメリカ軍とのかかわりについて説明される。(第一章・第二章)ここで強調されるのは、自衛隊にパワー・プロジェクション能力(日本語で戦力投射能力)がないということである。この辺りがまさに「目からウロコ」であった。戦後、創設された自衛隊は、実は相当にいびつな構造を持った(持たされた)組織なのだということがよくわかる。「海外への侵略」なんか金輪際できない構造なのだそうだ。
そうさせたのが、アメリカであるという。日本が二度と刃向かってこられないようにいわば骨抜きにされたのが自衛隊なのだ。恐るべし、アメリカ。いや、そのアメリカが真に恐れているのは日本だということもよくわかった。
日本の防衛費が世界有数の高さだから自衛隊は凄い組織なんだ、といった漠然とした考えしか持っていなかった私にとって非常に勉強になった。どんなことでも表面的に眺めるのでなく、その内実に目を向けなければいけないということだ。

そのあとの「テロ」や「イラク」についての文章も面白かったが、7年前の刊行の本なので当然ながら今読んでもピンとこないところもある。
第五章で北朝鮮を扱っていてこれは興味深く読んだ。安直な北朝鮮脅威論に与せず独自の冷静な読みを披露する著者の姿勢に共鳴した。

「初めに、あえて厳しいことをいわなければいけません。それは、新聞であれ、テレビであれ、官僚であれ、学者であれ、北朝鮮の脅威をいたずらに騒ぎ立てる者は、北朝鮮の軍事的な脅威を軽減させるか抑止するための具体的な議論をともなわない限り、「北朝鮮の手先」同然だということです。無責任にそのような発言をする者を、私は北朝鮮の手先とみなすといっています。」(230ページ)

もちろん、著者は「北朝鮮、恐れるに足らず」と言っているのではない。具体的に例を挙げてこれは脅威ではないがこっちは警戒が必要だときちんと説明している。その辺がとても説得力がある。

全体的に読みやすく分かりやすくするために脚注も充実しているし、さらに文末には受験参考書のように「ここがポイント!」としてその項目の大事なところを改めて示唆している。こういう工夫がこの本をより面白くしている。
読んでよかった。



日本の「戦争力」
アスコム
小川 和久

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