「文藝春秋 2012年7月号」 くいこみ海女 乱れ貝

雑誌「文藝春秋 2012年7月号」文藝春秋 2012年6月9日(土)発売・購入 東武ブックス梅島店 定価840円
2012年6月12日(火)読了

ずいぶん久しぶりに「文藝春秋」を買って隅から隅まで読んでみた。最新号である。目玉企画は「徹底追及 平成政治24年 亡国の「戦犯」」と「大型特集 尊厳ある死」の二つ。前者はよくある企画でタイトル通りに「戦犯」探しの座談会を評論家の皆さんが繰り広げるもの。昔だったら痛快に思ったり、反発したりしたのだが、今の政治状況ではもはやそんな気も起らず。政治家に何か期待したり、逆に腹立てたリする気持ちが私の中にまったくなくなってしまった。いや、私だけではなくこの座談会の出席者の皆さんからも「熱」が感じられないのだ。舌鋒鋭く批判しても何の意味もないことを熟知しているが、お仕事だからやってますというしらけムードがある。ご苦労様です。ちなみに出席者は、御厨貴、船橋洋一、松本健一、福田和也、保阪正康、後藤謙次という方々。
もう一つの目玉で「尊厳ある死」のほうが面白かった。いくつかの注目すべき記事で構成されている。
認知症、アルツハイマー病、終末期医療、排泄ケア、胃ろう、「お迎え現象」と並んでいるのだが、全部読むとドッと落ち込んでしまう。私も82歳の父と78歳の母と同居している身なのでここに書かれていることは極めて強烈な現実味をもって迫ってくる。老いとか死とか深刻に考えるのはいやだなあ、と思いつつ考えざるを得ないジレンマ。でも考え込んで悩んでも事態がよくなるはずもなく、無意味なのである。いや、父母のみならず私だっていつどうなるかは全く分からない。
憂鬱になるとわかっていても何故かこういう記事に興味があって熟読してしまう私はマゾヒスティックだろうか。

話を変えよう。
「文藝春秋」を読んで行っていると、この雑誌が実に広告が多いことに気付く。それもあからさまに広告らしい広告のみならず、一見すると記事のようなのだが、実は広告というのもある。作家やタレントがコメント載せているのをよく見るとうどんだったりお酒だったりの提燈持ちでした、というのも見受けられる。全ページ490あまりのうちでどれだけ広告を読まされたか。なんかおかしいように思える。
もっとおかしいのが、普通の記事なのによく読むと広告といおうか宣伝になっているもの。
例えば「原発事故を「論語」で読み解く」という記事の文章。筆者は安富歩という人。中身は筆者なりの「論語」の解釈であり、それなりに面白いのだが、タイトルの原発事故と結び付け方が強引すぎる。どうも何が言いたいのかよくわからない。わかるのは筆者が最近出した「原発危機と「東大話法」」(明石書店)と「生きるための論語」(ちくま新書)をお薦めしていることだけ。要するにこの記事を読んで興味を持ったらこの二冊の関連本を読んでね!テヘペロ。ということなのである。
他にも「ミッドウェー海戦70年目の「真実」」(森史朗)は、同じ筆者の「ミッドウェー海戦」(新潮選書)の宣伝だし、「橋下徹市長と中国化する日本」という対談記事(中野剛志と與那覇潤)は、與那覇潤の「中国化する日本」の宣伝になっている。ずいぶんあからさまだけど、本が売れない時代にはこれくらいやらなきゃダメなのか。
私がこれらの本を買って読むかどうかはわからない。

全体的に意気消沈するような記事が多い中で「この人の月間日記」という企画で「吉田松陰先生に憧れて」と題したビビる大木の記事が目を引いた。他が真面目な中でやけにはしゃいだ文章なのがミスマッチで非常に面白く、自分の役割をきちんと認識しているビビる大木の頭の良さに感心する。吉田松陰を尊敬し、墓所まで訪れるというのは驚きだし、月刊ムーを愛読し、日活ロマンポルノ押しというのも好感が持てる。ちなみに、

「「尼僧極楽」は涙なしでは見られないっス!「くいこみ海女 乱れ貝」「潮吹き海女」は傑作だ!」(347ページ)

だそうである。私は未見なのでぜひ見てみたいっス!


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