「ヤクザと原発 福島第一潜入記」

ノンフィクション(原発・暴力団)「ヤクザと原発 福島第一潜入記」2011年 鈴木智彦著 文藝春秋 2011年12月20日第1刷発行
2012年5月26日(土)読了

誰も書けなかった日本最大のタブー!
話題騒然!命懸けの衝撃ノンフィクション(帯より)

タイトルが面白そうなので買って読んでみた。著者は、暴力団専門ライターだという。そのキャリアと人脈からしてかなりディープな話が読めそうだと大いに期待していた。
結果は、まあそこそこの面白さというところか。
期待したディープさはあまり感じられず、なんだか表面を撫ぜた程度に終わっているようだった。もうすでにどこかで読んだような・・・という内容に思えてならなかった。
原発の誘致から始まって建設工事を経て稼働後に至るまで巨額な金が動くことは誰でも想像できる。そういう利権に目ざといヤクザが放っておくわけもなく当然のようにシノギの対象になる。そういう仕組みについては一応書いてはあるのだが、それがどの地方のどの原発でどこのヤクザかという具体的なことが書かれておらず曖昧になっているのが物足りない。著者がいろいろな方面に非常に気を遣いながら書いているのはよくわかるのだが、どうにも及び腰に見えて煮え切らない限り。
今回の震災後のヤクザの動きを取材しているのだが、ここもスッキリハッキリとはしない。こういう本は、行間の裏を読んだり、類推したりできなければダメなのかもしれない。ヤクザについての知識に乏しい私にはどうにも理解が届かないことが多い。

ヤクザとは直接関係はないのだが、この本のもう一つの目玉はサブタイトルにある「福島第一潜入記」の部分である。著者が、ライターという身分を隠し、一労働者として福島第一原発で働いた記録だ。
これも興味をそそられるのだが、読んでみると大したことが書かれていない。実際に働いてみたというのは偉いとは思うけど何の資格もキャリアもない著者のような人間は所詮雑用に近い仕事しか就労できない。だからせっかく「潜入」しても当然ながら重要なところに近づけるわけもない。
ハリウッド映画のように潜入取材した先で外部の人間が知りえない恐るべき真実を発見し、世界を危機に陥れる巨大な陰謀にぶち当たり、それを知った主人公は命を狙われる、という展開になりっこない。
福島第一は本当のところはどうなっているのか、という根本的疑問は解決されない。ほんの一部分の様子が当たり障りのない範囲で報告されているだけだ。

「ヤクザと原発 福島第一潜入記」というタイトルは確かに嘘ではない。ヤクザと原発のかかわりに触れているし、福島第一にも潜入している。でも読み終わると、「なんだかなあ」という気分になってしまう。
文章はとても読みやすいのでアッという間に読める。それが一番の取り柄か。


ヤクザと原発 福島第一潜入記
文藝春秋
鈴木 智彦

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