「在日米軍司令部」 2011年、「トモダチ作戦」を遂行せよ!

ノンフィクション(軍事・米軍)「在日米軍司令部」2008年ー2011年 春原剛(しのはら つよし)著 新潮文庫 2011年10月1日発行
2012年6月2日(土)読了

「北朝鮮ミサイル危機、東日本大震災の際、在日米軍はどう動いたのか?
知られざる米軍フェンスの深奥に迫る
「トモダチ作戦」の内幕を大幅加筆!」(帯より)

2008年発行の単行本に「トモダチ作戦」部分を付け加えて文庫化したもの。「トモダチ作戦」についてはまだ出版されたものが少ないのでそこに惹かれて買って読んでみた。
「トモダチ作戦」については冒頭の30ページほどで触れてあるだけ。さほど目新しいこともない。ただ、こんな文章が目に留まった。

「震災、アジア有事、そして米国人救済という「三正面作戦」を同時進行させる周到さを見せつけた米軍に対して、被災地への対応だけに追われた自衛隊━。
救援国と被災当事国という大きな立場の違いがあるとはいえ、両者の力量に依然として大きな差があることは誰の目にも明白となった。」(31ページ)

今までもさんざん言われてきたことではあるのだが、やっぱりそうか、という感じ。

この本は、発足から50年以上の歴史を持つ在日米軍司令部を描いたものではあるが、冷戦時代のことはほんの少し触れるだけで主にこの10年ほどの姿を追っている。
あまりこの手の本を読んだことがなかったので非常に勉強になった。ただ、面白い読み物とは残念ながら言えない。なんというか文章が固く、事実の羅列という感じで別にむずかしいことは書いていないのに読むのに骨が折れた。在日米軍の組織構造を事細かに説明されても正直あまり興味が持てなかった。
まあそれは著者のせいではなく読者である私のせいなのではあるが。

冷戦時代とはまた違う意味での危機の時代を迎えている今のアジア太平洋地域。そこをにらんでの在日米軍の再編問題。その辺の基本的なことは、この本を読むとわかるのだが、読んでいて実にもどかしい思いにもかられる。2008年のこの本の時点から事態はちっとも前に進んでいるように見えないからだ。

沖縄もこれを読む限り米軍はたやすく手放すとは思えない。

「かつて、米海兵隊関係者は「なぜ、沖縄に駐留しなければならないか」という日本側の問いかけに対して、常にこう返答していた。
朝鮮半島だけでなく、中国、台湾海峡、果てはマラッカ海峡までカバー範囲に収めることができる沖縄本島は米戦略上、理想に近い立地条件を備えている。加えて、日本特有の治安の良さ、米本土と変わらぬ豊富な物資。在外基地用地として沖縄が持つ「魅力」は枚挙にいとまがなかった。」(286ページ)

またこんな文章もある。

「戦後六十年を経た今でも首都・東京の空はその大部分が米軍によって実質的に管理されていることはあまり知られていない。いわゆる「横田空域」と呼ばれるエリアは新潟県から東京西部、伊豆半島、長野県を覆っている。
上空一万二千フィート(約三千七百メートル)から二万三千フィート(約七千メートル)。このエリアでは日米政府間合意に基づき、米軍が一元的に管理業務(飛行機に対する出発、進入の順序、経路などを指示する業務)を受け持つ。
このため、日本の民間航空機は多くの場合、関西空港などに向かう一部を除いて、この横田空域を避けるように遠回りして飛ぶのが現状だ。」(48ページ)

これらを読むと、本当に日本は独立国なのか、と疑問に思えてならない。同盟国とは聞こえがいいが、米軍により完全に首根っこを押さえられているではないか。

退屈な部分も確かにあるのだが、いろいろ教えられたのでこれはなかなか有意義な本であった。
在日米軍司令部 (新潮文庫)
新潮社
2011-09-28
春原 剛

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