「相棒 シーズン2 第4話 消える銃弾」 意外な凶器その二

テレビドラマ「相棒 シーズン2 第4話 消える銃弾」脚本:砂本量 監督:大井利夫 出演:水谷豊 寺脇康文 下條アトム 氏家恵 川原和久 大谷亮介 山中たかシ 山西惇 六角精児
2003年11月5日初回放送
2012年4月4日(水)15時57分放送・鑑賞

前話である「殺人晩餐会」に続いて再び意外な凶器もの。しかもこちらも食べ物がらみである。これも観るのは3度目だが、何度観ても面白い傑作だ。しかもどこかいびつなところがある傑作だ。

ある男が狙撃されて死んだ。だが、現場には硝煙反応がなく、また被害者の体内には銃弾が見当たらない。体を貫通していないからあるはずなのに。
といういかにも本格ミステリにありそうな「不可能犯罪」の匂いを漂わせた話である。
これも「類別トリック集成」にのっていたか気になるが、とにかくよく考えられたトリックではあると思う。鑑識がもっとちゃんと調べろよ、という気がしないでもないが。
ただこの話の注目すべきは、その意外な凶器だけではなく、犯人像にあると思われる。この「相棒」のなかでもだんとつで特異な犯人だ。というのは、この犯人には分からないところが多すぎる。動機については、一応語られるが、普通に考えると人を殺すにはいささか虚弱ではないか。「復讐」ではあるけれどそこに至る人間関係はとうてい殺人まで結び付けられない。そこがこの話のユニークなところと言える。常人には図れない殺人犯というものを表現している。また犯人を演じた氏家恵の演技が実に真に迫って恐ろしい。いや演技ではなくてこんな人が本当にいそうな気がするほどだ。彼女にとって一世一代の名演技だ。
動機以外にもわからないことが多すぎる。他人が作った機械を盗んでそれを殺人に使った、ということなのだが、あの機械が普通の人間においそれと扱えるとは思えないし、ちゃんと狙撃出来るとも思えない。その辺のところは、全くといっていいほど説明されない。犯人が実は機械に精通していたとか、実は自衛隊にいたとかそんな後出し情報は何もなし。ここもこの話のユニークさを表している。観る者が納得いく説明なんかをばっさり切り落としてしまうという実に大胆なやりかたである。でもそれが効果をあげている。異様な余韻が残る。

脚本家(砂本量)の意識の中には、「怪奇大作戦」があったのではないか、と勝手に想像してみた。特になかでも「かまいたち」という話。あの話の犯人も実に異様だったし、あそこで殺人に使用された機械も誰がどうやって作ったかといった説明はまるでなかった。動機さえもさだかではない。もうひとつ、「凶鬼人間」のラストで独房(精神病院?)、にいる犯人が描かれるのだが、この「消える銃弾」でも独房の犯人が描かれるワンシーンがある。それらは、「怪奇大作戦」へのオマージュと観たのだが、どうだろう?

犯人が、吉田拓郎の「夏休み」を歌うところが効果抜群で怖い。独房のシーンでも呟くように歌っている。
のちに「相棒」シーズン9の「聖戦」において南果歩にピンク・レディーの「UFO」を独房で歌わせているのは、これのオマージュだと思われる。こんな形でドラマというのは繋がっているのだ。

スーパーに買い物に行って●●●●を見ると「殺人晩餐会」を思い出し、街で弁当屋の前を通りかかると「消える銃弾」を思い出す。それほどまでにインパクトの強い二つの話であった。


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西村 祐次

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