「SFマガジン 2012年4月号」 魔法より良いものだよ。錬金術さ!

雑誌「SFマガジン 2012年4月号」早川書房 2012年2月25日(土)発売・購入 定価940円 東武ブックス北千住中央店
2012年3月10日(土)読了

「Four Seasons 3.25」円城塔(えんじょう とう)
芥川賞受賞第一作。タイムトラベルSFなのではあるが、そのタイムトラベルの仕組みがよく分からない。よってあまり面白いとは思えない。

「対称 シンメトリー」グレッグ・イーガン 山岸真訳
レムの「ピルクス」ものを思い起こさせるような地味な宇宙SF。手堅くまとめているが、さほど面白いわけではない。

「きみに読む物語」瀬名秀明
何を言わんとしているかどうもピンとこない話。面白くない。

「懸崖の好い人」三島浩司
SFらしさが希薄な普通の小説。面白味がない。

「蛩鬼(キヨウキ)乱舞」ジャック・ヴァンス 酒井昭伸訳
これは割合面白かった。1949年の作というから63年も前のものでいかにも古き良き時代のSFという感じ。ユーモラスな味わいがとてもいい。

「女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女 〈後篇〉」レイチェル・スワースキー 柿沼瑛子訳
傑作。とにかくヒロインの強烈な個性に惹かれる。男受けするようなタイプとは真逆なところがいい。これは長編に書きのばしても十分読むに堪える作品である、と思う。スワースキーの他の作品も読んでみたい。

「錬金術師 〈前篇〉」パオロ・バチガルピ 田中一江訳
なかなか面白い。スワースキーと同じく魔法使いが出て来るファンタジーなので二本ならべて比較したくなるが、こちらは強烈さに欠ける。ちょっと甘めに仕上がっている感じ。後篇に期待。

SF BOOK SCOPE
書評のコーナー。「時間のおとしもの」(入間人間 アスキー・メディアワークス文庫)「VS!! 正義の味方を倒すには」(和泉弐式 アスキー・メディアワークス電撃文庫)「昭和の怪談実話 ヴィンテージ・コレクション」(東雅夫編 メディアファクトリー)「ゴシック小説短編集」(春風社)といったところが気になる。

「椎名誠のニュートラル・コーナー なぜ鼻がもげ、火は熱くなく、水を飲むと死ぬのか」椎名誠
SFではない実話なのだが、SF以上に信じがたい極寒の地における体験談。さすがにこの手のものを書くと椎名誠は抜群に面白い。絶対こんな土地には住めないどころか全く行ってみたくもないが、読んでいる分には実になんとも楽しい。

「現代SF作家論シリーズ 小松左京 地球の上に朝が来る━『小松左京の大震災‘95』を読み直す」最相葉月
「是空の作家・光瀬龍 連載第3回」立川ゆかり
「SFのある文学誌 第四回 安部公房の「リアル」と「SF」━円城さんの芥川賞受賞を記念して」長山靖生
60年代の「SFマガジン」でお馴染みの顔ぶれが、こんなふうに研究される時代になったところに時の流れを感じる。いずれも読みごたえがあり、非常に面白かった。安部公房、読み直してみるか。


S-Fマガジン 2012年 04月号 [雑誌]
早川書房
2012-02-25

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by S-Fマガジン 2012年 04月号 [雑誌] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック