「世界の陰謀論を読み解く ユダヤ・フリーメイソン・イルミナティ」 幸福な人々

評論「世界の陰謀論を読み解く ユダヤ・フリーメイソン・イルミナティ」2012年 辻隆太朗著 講談社現代新書 2012年2月20日第1刷発行
2012年3月25日(日)読了

「偽史を紡ぐのは誰か?
偽書・世界征服計画の書『プロトコル』、フランス革命とメーソンの関係、新世界秩序陰謀論の論理、日本でたびたび巻き起こる震災デマ・・・」(帯より)
「陰謀論という考え方は、たったひとつの視点で世界のすべてを明瞭に説明する、非常に便利な思考のフィルタである」(裏帯より)

この前、読んだ「ボクには世界がこう見えていた 統合失調症闘病記」という本には、精神病を患った著者がさまざまな妄想を抱くさまが描かれていて、その中にはいわゆる陰謀論というべきものも含まれていた。人は精神が狂うとこういう思考に陥るのか、と教えられることが多かった。
さて、こちらの本で登場する陰謀論を主張する人たちは、どうやら精神病ではなく正気のようだが、人はたとえ正気であってもこういうとんでもない思考に陥るのか、とこれまた教えられることが多かった。

これは、陰謀論について茶化したり無視したりしないできちんと真面目に向き合って「読み解く」本である。
現在の陰謀論者の陰謀論に具体例を挙げて反論したり、陰謀論の成り立ちを過去にさかのぼって研究したりしている。それらを新書版で300ページ弱のなかでかなり要領よくまとめて書かれているので私のような陰謀論初心者にも非常に分かりやすくためになった。
ユダヤ・フリーメイソン・イルミナティという定番の陰謀論についても詳しく書かれていてとても面白い。
第五章の「アメリカ━陰謀論の最前線」は、何だか読んでいて怖くなった。どうも宗教がバックにある陰謀論者というのは怖い。

陰謀論者という人々は、幸福な人々なのではないか、と思った。この世界を陰謀というキーワードで全て解き明かす楽天的なところ、邪悪なものがいるのを見抜く洞察力、そして、自らの鋭い「読み」を決して疑わない強靭な精神力、私には全くもって欠けているものだ。みんな、なんて自信満々なのだろう。ちょっと羨ましくなる。
でも、陰謀論者になりたいとは今のところ思わないし、これ以上、陰謀論について知りたいとも思わない。まだ死にたくないから。






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