「調査報告 原発マネー」 この世で一番大事なお金の話

テレビ(ドキュメンタリー)「NHKスペシャル 3.11 あの日から一年「調査報告 原発マネー」~3兆円は地域をどう変えたのか~ 制作・著作:NHK
2012年3月8日(木)22時~22時50分放送・鑑賞

原発誘致の裏側で動く金の流れについて極めて分かりやすく教えてくれるドキュメンタリーである。
何だか脱原発だの原発推進だのと右と左のインテリが真面目に論議しているのが気の毒に見えてしまうような誠に身も蓋もない話だが、原発に関しては国も電力会社も地元自治体も高邁な理想とか強固な信念とかがあるわけではなく、単なる金のなる木ととらえているのが分かりただひたすら脱力感を覚える。

冒頭、福島第二原発を抱える福島県楢葉(ならは)町の町長が、福島第一原発事故による住民避難で無人になった町を茫然として歩く。彼は福島第二原発廃炉という事態に直面しているのだ。原子力に100%依存してきた町に他の財源などはありはしない。彼は悩む。
 
電源三法交付金 寄付金 核燃料税等という三種類の金をこの番組では原発マネーと呼んでいる。総額3兆円もの巨額なその金のからくりが実に面白い。非常に単純なのだが、良く出来た仕組みなのである。国や電力会社にとって非常に好都合になるようにできている。やっぱり頭のいい人が世の中にはいるものだ。

新潟県柏崎市は、もっとも多い3000億円という原発マネーを地域振興の名目で受け取っている。で、その金が本当に地域振興に役立っているかといえばさにあらず、むしろ市の財政を圧迫している面もあるという。
国からの交付金は、公共施設に限定した使用のみしか認められないので所謂ハコモノをいくつも建てることになる。建てたからには維持運営していかねばならない。公共施設の維持費年間13億円にもなる。
一つの例として市立博物館があげられる。ここの年間の入館料収入が89万円で維持管理費はその百倍の8884万円。民間ならとうの昔に撤退かもしくは倒産である。笑っちゃうくらい凄い話だ。 

青森県内のすべての市町村にもれなく原発マネーがばらまかれたという。他の県では見られない現象だ。何故か。
核燃料サイクル施設建設についての反対運動の盛り上がりに危機感を抱いた電事連(電力会社で作る団体)が、「こういうメリットがありますよ」と示唆してみせたのだという。施設に何の関係もないところまで金が行きわたるというこの徹底した戦略の凄さ。

「貧乏県の悲哀ですよ」と青森県の元幹部は言う。
「迷惑施設としての交付金を貰っている」と青森県のある町の現職町長は言う。
何という自虐的な発言か。青森県出身の太宰治が生きていたらどう言うだろう。

ラストでまた楢葉町の町長が登場してその苦悩した顔を見せる。今度は中間貯蔵施設を受け入れるのだそうだ。いつまでもこの繰り返しなのだろうか。本当に原子力に依存しなければ地域振興・産業振興はできず、雇用はうまれないのだろうか。
そんなことを考えさせられひたすらこちらも気が沈むドキュメンタリーであった。傑作である。

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