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zoom RSS 「キルトの家(後編)「短い日日のあとに」」 明るくてテキパキしててどっかおかしい

<<   作成日時 : 2012/02/05 06:42   >>

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テレビドラマ「キルトの家(後編)「短い日日のあとに」」脚本:山田太一 演出:本木一博 出演:山ア努 杏 三浦貴大 余貴美子 松坂慶子 緑魔子 北村聡一朗 佐々木すみ江 根岸季衣 正司歌江 織本順吉 上田耕一 新井浩文 猫背椿
2012年2月4日(土)21時〜22時15分放送・鑑賞 NHK総合テレビ

山田太一の独特な世界にどっぷりつかって堪能した。傑作である。
前編は、若いレモン(杏)と空(三浦貴大)のカップルに焦点を当てたような描き方だったが、後編では老人たちやそれよりやや若い一枝(松坂慶子)を中心に描いていて若者たちの話は霞んだように見える。津波という特別な体験をしたというレモンと空にもっとポイントが置かれると思ったがそれほどではなかった。
震災・津波という題材を取り上げたかったが、正面から描き切れずこういう形になった、と山田太一が告白しているように感じた。当事者ではない者の持つ「後ろめたさ」が実に痛切である。
前編を観た印象では、後編はもっとドラマティックな展開になるかと思ったが、その辺はあっさりと肩透かし。レモンの中絶とか元夫(新井浩文)とのもめごとでの修羅場にはまったくならない嘘のような決着の仕方だ。なんかもうそういうことには山田太一は興味も関心もないようだ。

若者と老人たちが「キルトの家」と呼ばれる家で心の交流をするドラマ。紋切り型に言うとそんな感じになるのだが、何しろ山田太一なのでことはそう単純ではない。登場人物たちがみんなどこかアブノーマルな部分を持ち、どこか変なのである。もちろん、山田太一お得意のセリフもどこか変だし、話自体も変。まあ、それが山田太一らしいのではあるが。他のだれもまねできない、しようと思わない。
山田太一のドラマってリアリズムじゃない気がする。どこか前衛的というか実験的というか。出て来る人たちは、山田太一の脳内にしかいないような人たちでちょっと変で芝居掛かっていて、しゃべるとみんなモノローグか演説のように聞こえてしまう。しかもそのすべてが山田太一の思想を代弁しているようだ。

演出と演技が優れていればいるほど山田太一の異常さが際立つ。セリフがみんな棒読みに聞こえてしまう、というのもその一つだし、感情表現の特異なところも気になる。
たとえば、レモンと空が津波の体験を老人たちに語ったときに老人たちが見せる感情表現。その不思議なちぐはぐさ。山ア努なんかは、鼻水たらしての熱演だが、どこかそぐわないように思えてならない。
いや、これはけなしているのではなく、そこが面白いと言っているのである。

人情話のようでいて全然そうじゃない。身も蓋もないセリフもある。
ある老人が他の老人に対してはっきりと「嫌いだ。もう付き合わない」と宣言する。そのあと、和解したりするシーンはない。嫌いなものは嫌い。
「死んだ夫が保険に入っていたおかげで安心して暮らせる」という女性。このセリフだけだと金さえあればいいのか、と思えてしまう。まあ、そうだけど。

「キルトの家」の老人たちが一気に5人もいなくなるクライマックスの残酷さは、老人である山田太一の実感であろう。
私も高齢者の親戚が多いのでこういうのはよく分かる。特にここ数年、何人もの人を見送って来たからなおさらである。
「老人はこんなものさ」という山ア努のセリフは残酷で身も蓋もないが真実だ。

このドラマはホラーだと思って観た方がいいのかもしれない。いや、人生そのものがホラーなのだ。どんなに楽しいことや幸せなことがあってもラストシーンは死なのだから。

でも山田太一にはもっと長生きしてもっととんでもないドラマを書いてほしい、と要望しておきたい。
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