「家政婦のミタ 第11回(最終回)」 これはお姉ちゃんが見ている夢なのよ

テレビドラマ「家政婦のミタ 第11回(最終回)」脚本:遊川和彦 演出:猪股隆一 出演:松嶋菜々子 長谷川博己 相武紗季 怱那汐里 平泉成 白川由美 野波麻帆 本田望結 中川大志 綾部守人 佐藤仁美 勝地涼
2011年12月21日(水)22時~23時9分放送・鑑賞

きのう、会社で同僚のモンゴル人女性にこんなことを言われた。
「きょう、ミタ、さいしゅうかいですね。見ますか?」
まだ、いまひとつ日本語がおぼつかない感が否めない彼女だが、テレビドラマへの関心は強いようだ。
ちなみに私はこう答えた。
「見ますよ。最初から見ていたから。楽しみですね。」

そんな待望の最終回、期待通り楽しく見ることができた。前回あたりはやや不安を覚えたのだが、最後の締めは遊川和彦の脚本も実に冴えわたり、演出も見事だし、演技も素晴らしかった。
圧倒的傑作であり、まさに私好みのテレビドラマであった。

最終回はひとまずおいといて簡単に全体を総括してみる。
今井舞は、「週刊文春」において二度もこのドラマに対して「見世物小屋」と否定的に書いている。(11月3日号と12月15日号)私もその「見世物小屋」という表現には納得である。ただし、今井舞とは正反対に肯定的に捉えている。テレビドラマが「見世物小屋」であって何が悪いのだろう。いや、むしろそれを目指すべきではないだろうか。
あざとく、おおげさで、荒唐無稽で、御都合主義で、あり得ない登場人物が右往左往する滅茶苦茶なストーリー、そういうドラマこそむしろドラマの真骨頂だ。その伝でいけば、このドラマは理想的と言える。

このドラマにリアリティーを求めるのは、無駄である。
「こんなヒロイン、ありえない」と非難しても意味がない。
そもそも、幼稚園に「爆弾を仕掛けた」と脅迫電話をかけたり、雇われた家の室内に灯油をまいて火をつけようとしたりして警察沙汰になっても、「穏便に解決しました」なんておよそあるわけない。

脚本の遊川和彦は、非常に突出した異常なキャラを主人公に据えるという戦略を既に「女王の教室」で成功させているが、今回の方がより面白くなっている。
「女王の教室」では、ヒロインの女教師が飛び抜けて特異だっただけで周囲の人々は割と普通であった。ところが、今作では、ヒロインの家政婦ミタに負けず劣らず「異常」な家族が登場するので両者の対峙が実に何とも面白くなっている。崩壊寸前のダメ家族がミタという異物によってどう変わって行くかが大いなる見どころであるし、さらに後半に入ると、今度は彼らによってミタがどう変わって行くかに興味が移って行くとい構成が実に上手い。

本質的にはシリアスな話なのだが、遊川和彦は遊び心満載で色々な仕掛けをしてくるので楽しく見られる。笑わせ方も結構あざといし、滑ることもあるし、ベタなものも多いが下手な鉄砲も数うちゃあたる、でネタをたくさん見せてくれるのはありがたい。

で、最終回。「卒業」パロディを始めとしていつも以上にベタなギャグは炸裂するし、しつこいくらいの泣かせ場もあるし、主要登場人物の整理整頓もするしでまあやりたい放題ながらしっかりまとめました、という感じ。松嶋菜々子が、相武紗希を平手で連打するしつこさ、最後まで平泉成が語尾に「~なり」をつけてるしつこさもツボに嵌った。

「女王の教室」の最終回のラストでヒロインの天海祐希が初めて笑顔を見せるシーンが印象的だったが、今回もそれと同じようにヒロインの松嶋菜々子が最終回のクライマックスで笑顔を見せるシーンがある。
いま、同じようにと言ったが実は状況的にはかなり違う。天海祐希は志田未来との会話の後で自然にほほ笑んだという流れなのだが、こちらはあくまで「業務命令で笑ってください」と言われたので松嶋菜々子が笑うのである。なんだか普通に考えると酷い話だ。
単純に感動的なシーンと言いきれない苦さが残る。結局、他人と家族の間の越えられない壁があるということだ。その辺をきちんと描いているところに一番感心した。

それにしても、この笑うシーンの松嶋菜々子のなんという美しさ、悲しさ。まさに絶品。それをきっちりと捉えたカメラも素晴らしい。
こんなにも女優の顔をまじまじと見たことが最近なかっただけに感動してしまった。
若いころの松嶋菜々子ももちろん美しかったが、ここで見せた彼女の顔はやさしい母の顔なのである。気取りのない親しみある母の顔。でも、母は悲しい。悲しいから美しい。
脚本の狙い以上のものを演出と演技が生み出した名シーンだ。

松嶋菜々子は女優になった甲斐があったというもの。怱那汐里は、このところつまらない深夜ドラマが続いたがやっといい役を貰った。相武紗希の捨て身の演技も好き。白川由美は長生きして貰いたい。本田望結は可愛い。野波麻帆はいつ見てもどうしてこんなにエロティックなんだろう。悪役佐藤仁美も好き。
平泉成のコミカルな一面もとてもいいなり。長谷川博己のダメ父親も絶品で他の追随を許さない。

続編や映画化はやらないということだが、これだけ面白いものをこれきりにするのはもったいない。
遊川和彦は、「女王の教室」のヒットに気を良くして調子に乗って「演歌の女王」という箸にも棒にもかからない惨憺たる出来栄えの作品を作った前歴があるが、ぜひまた調子に乗ってとんでもない作品を作ってほしい。





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