「相棒 シーズン10 第4話 ライフライン」 生き地獄

テレビドラマ「相棒 シーズン10 第4話 ライフライン」脚本:櫻井武晴 監督:近藤俊明 出演:水谷豊 及川光博 六角精児 川原和久 大谷亮介 山中崇史 山西惇 林和義 青山勝 立原麻衣 藤本七海
2011年11月9日(水)21時~21時54分放送・鑑賞 テレビ朝日

「相棒 シーズン9 第8話 ボーダーライン」と同じ櫻井武晴の脚本で、再び現代日本の労働現場の過酷さを描いた作品である。今度は、「ライフライン」と題しているが、ラインシリーズにするのだろうか。

ストーリー的には、一人の男の遺体が発見され、杉下右京らの捜査が始まると、やがて「黒い闇」が見えて来るという「ボーダーライン」と基本的には同じ展開である。あのときは一労働者が主人公だったが、今度は中小企業とはいえ経営者である男を主人公にしている。さらに死んだ男だけではなく、その周りの人々の切羽詰まった状況も描かれいるので、「ボーダーライン」の二番煎じと言いきれない含蓄がある話になっている。とてつもなく嫌な話だが、「ボーダーライン」に引けを取らない傑作である。

青山勝がいい。劇団道学先生の舞台で何度か観てその達者さは承知していたが、今作の迫真の演技がやはり凄い。舞台はどちらかと言うと喜劇味が多いものだったが、こういう悲劇でも実力を発揮している。

登場人物たちがまさにこの世の生き地獄にのたうちまわっているさまを見せつけるシリアスな作品ではあるが、そこに杉下右京を絡ませると不思議な感触になる。決して登場人物たちに感情移入したりしないクールさが彼の真骨頂であり、今回もそれがうまく決まっている。彼に社会の矛盾を指摘させて、声高な主張をさせるといった姑息なことをさせないのがいい。その辺が今の感覚に合っている。
そもそも、杉下右京は所謂人情派の刑事ではない。他の刑事ものだと、刑事を慕って会いに来る元犯罪者や事件関係者が出て来る話があるものだが、「相棒」においてはトンと記憶にない。
「ボーダーライン」同様にあくまでも彼が解説役に徹する「距離感」のとり方がうまい。

昔々の「七人の刑事」なんて刑事ものは子ども心にやけに暗く陰惨な話が多かったように覚えている。その後、「太陽にほえろ!」あたりから「踊る大捜査線」へとさまざまな刑事ものがあり、色々と変わって行ったのだが、なんだか最近の「相棒」を観ると、先祖がえりと言うか、昔の暗く陰惨な所謂「社会派」ドラマが復活したように思えてならない。ただ、先にもふれたように杉下右京のキャラのクールさはやはり現代のものだ。昔の「社会派」はもっと泥臭く汗臭く涙がいっぱいだったように記憶している。

神戸尊が第4話にしてやっと「花の里」がなくなったのを聞かされるというのも考えてみればひどい話だ。杉下右京はまだ神戸尊に心を許していないということだろう。

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