「100年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権図」 2050年まで生きたい

評論「100年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権図」THE NEXT 100 YEARS A FORECAST FOR THE 21ST CENTURY 2009年 アメリカ ジョージ・フリードマン著 櫻井祐子訳 早川書房 2009年10月15日初版発行
2011年11月12日(土)読了

「これから世界はこうなる」と予測する本というのは出版界のいわば定番商品であり、昔からそれこそ山ほど出版されている。その著者もいかにも怪しげなオカルティックな人からやけに仰々しい肩書がついた偉そうな学者らしき人まで多士済々である。いくつかの本は覗いてみたことはあるが、買ってまで読もうという気になったことはない。
それが珍しく買ってみる気になったのは、「100年予測」というタイトルの大風呂敷ぶりに惹かれたからである。10年先だって見通すのは難しいのになんと100年先までとは実に面白そう、と思ってしまった。
で、買って読んでみたら期待通りの面白さ。いやあ、最近こんなに笑えて楽しめる本はなかった。娯楽読物としては抜群の出来だ。「来年のことを話すと鬼が笑う」と昔の人は言っていたが、この本読んだらきっと鬼は笑い死にしていることだろう。

21世紀の世界の覇権を握るのはどこの国か、この本でははっきりとそれはアメリカ合衆国だと断言している。20世紀末のソ連崩壊によって世界唯一の超大国となったアメリカが21世紀も引き続いて世界にその力を誇示し続けるということだ。
あまりにひねりがないので逆に新鮮だった。
あれ、でもロシアやユーロやイスラム諸国や中国はどうなの?色々なメディアではそれぞれの国や地域について大きく取り上げられているのだが。という疑問もわくのだが、著者に言わせればそのいずれもが所詮はアメリカの敵ではないそうだ。多少の動きはあっても2020年代くらいには決着がつく。ロシアは再びアメリカに挑みはするが、結局はソ連の二の舞で自壊してしまうし、没落したヨーロッパの烏合の衆ユーロは問題にもならず、イスラム諸国は結局、国家としてまともな形にならない。中国は他の人の予想とは裏腹に超大国にはなりえずに国内は分裂の憂き目にあう。
この辺までが約半分で章立てでは第6章まで。ここまでの分析は結構説得力があり、「なるほど、なるほど」と頷いてしまった。この本は2年前に書かれた本だが、ユーロ圏のダメダメぶり、アラブのイスラム諸国の混乱ぶりが一層顕在化された2011年に読むと余計リアリティーが感じられる。
それと近年やたら持ちあげられて称賛され、同時に嫌われ警戒され、いずれにしても重要視されている中国を歯牙にもかけず、あっさり一蹴してしまうのが実に痛快。

第7章以降の後半は前半とは違った種類の面白さがある。実はここからが大いに笑った部分なのだ。
世界最強の海軍を持ち、文字通り世界を制覇したアメリカに闘いを挑む国家がついに登場する。なんとそれがわが日本なのである。カッコいい!やっぱり、真正面からアメリカに戦争を仕掛ける国なんて今も昔も世界では日本しかいないのだ。著者は親日なのか反日なのかよく分からないが、やたらめったら買い被ってくれている。
21世紀の半ば近く、日本は軍国主義が復活し、当然ながら核武装している。そして、1941年の日米戦争時と同じく、アメリカの横暴なやり口によって追い詰められ、決起するのである。今度もまた、真珠湾と同じく奇襲作戦だ。しかも21世紀らしく舞台は宇宙だ。
2050年11月24日午後5時、日本の月面基地から発射されたミサイルは静止軌道上のアメリカの宇宙ステーション・バトルスターの奇襲攻撃に成功する。そして、同盟を結んでいるトルコもまた地球上で行動を開始する。
まあ、ご丁寧に日付まで予測してくれているのが何とも楽しい。トルコと同盟というのも妙にツボに嵌って可笑しい。トルコが親日的ってのも聞いたことあるな。数日前にトルコ地震の被災者のサポートのため現地入りした日本人ボランティアの男性が再度起きた地震で死亡したばかりだし。

著者がやはり軍事を第一に考えているというのがハッキリしているのが印象的。21世紀は国家間の戦争なんか起きないんじゃないか、と平和ボケした希望的観測をしていた私にとって非常に勉強になった。著者の唱える地政学というものもその一端が何となく理解できたように思える。
著者の息子はイラクに二度従軍した、という記述もある。この辺が日本人と違うところだ。現在の日本人で従軍経験あるのは80歳を越えた人だろう。大半の日本人にとって戦争は過去のもので遠い国のことだが、アメリカ人にとっては現在進行形のことなのだ。著者のように国力=軍事力となるのも無理からぬことか。

中国は2020年に分裂するか。日本は2050年にアメリカと戦争するか。頑張って長生きして著者の予測(というか空想?妄想?)が当たるかどうか見届けたい。2050年、私は92歳である。
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