「エースを出せ! 脱「言論の不自由」宣言」

評論「エースを出せ! 脱「言論の不自由」宣言」2002年 日本 日垣隆著 文藝春秋 2002年8月30日第1刷
2011年11月25日(木)読了

最新刊の「つながる読書術」が面白かったので同じ日垣隆の旧作を買って読んでみた。9年前に刊行された本で多分野にわたるテーマについて書かれたさまざまな文章が収められている。それらの文章は刊行の年に書かれたものから古いものでは1992年に書かれたものまである。いずれにしても隔世の感を抱かせる文章が多い。
佐川急便や長野県知事・田中康夫を扱ったものに特にそれが顕著に出ている。「ああ、こういう時代もあったんだなあ」という感慨しきりである。そういえば、今、田中康夫は何をしているんだっけ?

そんなふうに出て来る企業名や人物名はやや古臭く感じるものも多々あるが、結局、たかだか10年~20年ではこの日本の本質的なものは何一つとして変っていないことも痛感させられる。登場人物や舞台設定が少し違うだけで全く同じ脚本の繰り返しなのである。悪しき「古きもの」は相も変わらず健在だ。
 
「ひきこもる「天声人語」の断末魔」とあるが、9年たってもまだ「天声人語」も「朝日新聞」もなに喰わぬ顔で存在しているし、NHKのやらせ体質も同様だ。
精神障害犯罪者について真摯に投げかけた著者の主張は極めて正当なものではあるが、これまた未だになんら状況が変わっていない。
読んでいると著者の強い憤りが伝わって来るが、それが2011年の今、何の結果を生み出していないことに虚しさも感じる。所詮、この程度の叫びでは社会は変わらないのか。

著者の語り口は軽妙で分かりやすいが、そのユーモアのセンスはこちらの感性に合わない気がする。「つながる読書術」ではその辺がやけに鼻に着いたのだが、幸いこっちはそれほどではない。

ダイオキシン騒ぎについて触れられているのも懐かしかった。あれっていったいなんだったのかよく分からなかったのだが、その謎が解けた思いだ。
「買ってはいけない」という本も買って読んで大いに怖がったので、ここで一刀両断されると気持ちいい。 
エースを出せ!―脱「言論の不自由」宣言
文藝春秋
日垣 隆

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