「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間 第1話 偽りを見抜く男」 怪物との闘い

テレビドラマ「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間 第1話 偽りを見抜く男」LIE TO ME 2009年 アメリカ 企画・製作・脚本:サミュエル・ボーム 監督:ロバート・シュシェントケ 出演:ティム・ロス ケリー・ウィリアムズ ブレンダン・ハインズ モニカ・レイモンド
2011年10月1日(土)27時15分~28時5分放送 テレビ東京 
2011年10月3日(月)鑑賞 

人間の顔の表情や体のしぐさから瞬時に嘘を見抜く心理学者が、警察や政府機関の依頼で犯罪捜査に協力する姿を描いたアメリカのテレビドラマ。シーズン1の第1話。

この手の話は日本のテレビドラマでもあったので特に新鮮味はない。今年に入ってからも藤木直人主演のものがあった。この「ライ・トゥ・ミー」の方が先に作られているから少し影響を受けているかな?でも、観た感想では似て非なるもの、という気がする。若くて爽やかな二枚目の藤木直人に対してこちらは渋い中年男で華やかさなど微塵もないティム・ロス主演である。

ストーリー的には先に書いたように新鮮味はない。しかし、映像の見せ方はこちらの方がずば抜けて巧い。とにかくクローズ・アップを多用して、人間の顔のパーツをとことん見せるケレン味が面白い。眼、唇から頬の緩みや眉間の皺まで拡大して見せる。若い女性の産毛まで見えそうなくらい。で、それを主人公の心理学者カル・ライトマン博士(ティム・ロス)が分析する。彼は、人間が話すときに嘘をつくか真実を語っているかをそれらの顔のパーツの動きで完璧に見抜けるという。正直言って、「本当かな?」という疑問符は浮かぶのだが、ドラマの中のことだから、いちいち突っ込むのも大人げない。そういうものだと割り切って観ていると、彼のヒーローぶりが並外れていて実に楽しい。
演じるティム・ロスの演技も素晴らしい。頭が良すぎて性格が悪い男、というのを実に巧妙に演じている。

他人の嘘を全て見抜くライトマン博士が、誰よりも嘘をつくのがうまい、というのもよく出来た設定である。長年の経験と訓練と研究の成果というわけか。「24」のジャック・バウアーが、作中に出て来るどんなテロリストよりも強くて凶悪なのと同じことか。

映像的にもう一つ印象的なのは、過去および現在の著名人の顔写真を並べ、その表情を比較するくだり。本筋には関係ないお遊びだが、かなりの額の肖像権料を払ったのではないか、と気になった。まあ、人の金の心配しても仕方ないのだが。

この第1話で一番気に入ったのはラストだ。事件が無事解決し、街に出たライトマン博士が、すれ違う人々の会話を聞き、その表情を見る。すると、彼にはすべて分かってしまうのだ。どんな愛の言葉もそれが嘘かどうか分かる。
つまり彼はまるで人の心を読める超能力者の域まで達しようとしているのだ。そんな彼は決してそれを誇っているようには見えない。むしろ、孤独にさいなまれ絶望してるかのように見える。超越者の悲哀をそこに感じてジーンときた。もちろん、セリフでそんなことを説明するわけではない。ライトマン博士に倣って、ティム・ロスの表情を観ていたら自然に感じとれたのだ。ティム・ロスは本当に素晴らしい役者だ。華やかじゃないけど。

ライトマン博士には、ニーチェのあの有名な言葉が似合うと思う。

「146 怪物との闘い
怪物と闘う者は、闘いながら自分が怪物になってしまわないようにするがよい。長いあいだ深淵を覗きこんでいると、深淵もまた君を覗きこむのだ。」
(フリードリヒ・ニーチェ著「善悪の彼岸」光文社古典新訳文庫 中山元訳 185ページ 第4篇 箴言と間奏曲より)

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