「もっとも美しい数学 ゲーム理論」 ハリ・セルダンの心理歴史学とケヴィン・ベーコン革命

評論(科学書)「もっとも美しい数学 ゲーム理論」A BEAUTIFUL MATH:JOHN NASH, GAME THEORY, AND THE MODERN QUEST FOR A CODE OF NATURE 2006年 アメリカ トム・ジーグフリード著 冨永星訳 文藝春秋 2008年2月25日第1刷
2011年10月24日(月)読了

これはタイトル通りゲーム理論の本ではあるのだが、私のような無知な人間にゲーム理論というものを詳細に教えてくれる本ではない。ではこれは何の本なのか。著者はこう言っている。

「ゲーム理論は、豊かで奥深く、異論の多い分野であって、一冊の本ですべてを網羅することなどとうてい不可能だ。この本は、ゲーム理論の教科書ではない。また、ゲーム理論が、本来の応用分野だった経済学の分野でいかに広く使われているかを紹介するつもりも、経済学以外に応用の範囲を広げようとして試みられた多くの改変や工夫を紹介するつもりもない。この本の狙いは、ナッシュが作った基盤の上に打ち立てられたゲーム理論が、いかに多様な形でいかに広範な科学の分野に応用されているかを紹介することにある。」(7ページ はじめに)

なるほどそういうことですか。正直言ってゲーム理論の中身については最後まで読んでもよく分からないが、それが実に多岐にわたる分野で応用されていることはさまざまな具体例によって理解できた。
とにかく博覧強記の見本のような著者はあちらこちらから話題をもってきて読むものを飽きさせない。その点では面白い本ではあるが、さらに深く理解するにはここで紹介された本などをいくつも読まねばいけない、ということでもある。うーん、読むべき本、読みたい本が次々に増えていくな。

まず、冒頭にアイザック・アシモフの「ファウンデーション」の話から始まるので驚く。ウーサマ・ビン・ラディン率いるアル・カイーダの名前の由来が、この「ファウンデーション」にあるという新説である。そして、「ファウンデーション」の主人公ハリ・セルダンの唱えた歴史心理学と同じようなものを現実世界で生み出したのが、誰あろう、伝説の天才数学者ジョン・ナッシュであった。
とまあ、こんな感じで堅苦しい科学書・数学書のイメージを払拭するかのように、SF小説にいきなり触れて読者の興味を惹こうとする試みがなかなかに楽しい。そのあともアメリカ人俳優ケヴィン・ベーコンを取り上げてみて彼をめぐる不思議な人間関係のつながりを言及したりしている。この辺も面白い。
他にもゲーム理論に一見関係なさそうなアダム・スミスの「国富論」やジーグムンド・フロイト、ブレーズ・パスカルを話題に挙げて話題を広げて見せる技はなかなかのもの。ただ、やはりどうしてもゲーム理論そのものに理解が届かないので隔靴掻痒の感は否めない。ジョン・ナッシュの「ナッシュ均衡」がどのように画期的な理論なのかさえよく分からなかった。表面的な話題の面白さに囚われず、もっとゲーム理論およびその周辺について詳しく知りたくて堪らなくなった。もっと勉強しなければいけない。
もっとも美しい数学 ゲーム理論
文藝春秋
トム・ジーグフリード

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by もっとも美しい数学 ゲーム理論 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック