「ツイッターノミクス」 ここはユートピアですか?

ノンフィクション「ツイッターノミクス」THE WHUFFIE FACTOR 2010年 アメリカ タラ・ハント著 村井章子訳 津田大介解説 文藝春秋 2010年3月10日第1刷
2011年10月17日(月)読了

まとめてみよう。ウェブ2.0のさまざまなツールの発達によって、
まったく違う市場経済が出現した。個人も組織も、
その新しい世界に対応したものが成功するのだ。(249ページ)

あまり中身もよく分からないまま、「面白そう」と思って買って読んでみた。するとこれは所謂ビジネス書だということが分かった。ビジネス書の棚にあったら買わなかっただろうが、あいにくノンフィクションの棚のあったから買ってしまった。それが結果的によかった。めったに読まない種類の本を読むというのは大変楽しいことだ。

これは、ブログやツイッターなどのツールを解説した本ではない。それらについてある程度の知識がある人々に対してそれらのツールをいかにビジネスに生かすか、を指南してくれる本である。
私も会社勤めではあるが、そのようなツールを利用する業務には一切関係ないし、今後、何らかの企業を起業する予定もない。ただ、今これを書いている個人的なブログを4年やっているし、ツイッターにも多少なりとも興味があるのでビジネス云々は抜きにしてもそれなりに面白く読むことができた。

著者のタラ・ハントはカナダ人でアメリカとカナダで仕事をしてきたのでここで取り上げられる事例もその二つの国のことに絞られる。日本にいる私には、ピンとこないことも多い。ウェブの状況自体も似ているところもあり、違うところもある、という感じ。
ビジネスにおいてさまざまな企業がどのようにツールを使いこなしているか、を企業の実名を挙げて具体例を示すところも日本では馴染みのない企業名もあり、いささか遠い話に聞こえる。むしろ成功例よりもツールを使いこなせない失敗例の方が面白く感じた。こちらもちゃんと実名で企業が登場する。配慮なんかしないで、事実は事実、悪いものは悪いとズバリというところが痛快である。ちなみに一番槍玉に挙げられているのは、「第7章 ウォルマートの失敗に学ぶ」と章題にもなっているウォルマートだ。

成功例の企業の方は創意工夫に富んでいて進取の気性があり、常に顧客のことを考えているようだ。こちらの方はいささか著者のひいきの引き倒し、という感は否めない。それにしてもどの企業もみんな歴史が浅い。1980年代創業なら古株の方で、1990年代どころか2000年代創業で既に確たる業績を残している企業もある。
著者自身も企業を立ち上げ今も社長だそうなので、仲間意識もありみんなを持ち上げている気配もある。でも、不思議にそんなに嫌な感じはない。この新しい時代にみんなで一緒に盛り上げて行きましょう、というポジティブな著者の姿勢は割合好感が持てる。なんだかユートピアが実現しそうな気にもさせられる。

ビジネスだけではなく、コミュニケーションのためのツールとしてブログやツイッターが活用できる、というのは大いに勉強なった。ツイッター、やってみたくなった。

この本を著者が書いたのが2009年、出版が2010年、そして今は2011年だが、既に本の内容が古くなっているところもある。というか、著者が考えも及ばない方向に時代が動いてきた、のだろう。
例えばツイッターだが、この本ではあくまでビジネスでの活用や個人的なコミュニケーションを広げるためのものとしか取り上げられていないが、今年に入ってから世界のさまざまな場所において社会的、もしくは政治的に使われるようになっている。「アラブの春」と呼ばれる民主化運動しかり、アメリカやヨーロッパで行われた同時多発的なデモもしかりである。ツイッターやフェイスブックが果たした大きな役割は既に各所で指摘されている。
冗談抜きでユートピアが実現するか、それともその反対のデストピアになってしまうか。

そういえば今年3月の東日本大震災でもツイッターが、安否情報を知らせるなどのコミュニケーションツールとして大いに役立った、と聞く。これもまた、今までは考えも及ばないことのひとつだろう。時代は変わる。

ツイッターノミクス TwitterNomics
文藝春秋
タラ・ハント 津田 大介(解説)

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ツイッターノミクス TwitterNomics の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック