「ザ・スクープSP 「日本の一番長い日」の真実 誰も知らない「玉音放送」」

テレビ(ドキュメンタリー)「ザ・スクープSP 「日本の一番長い日」の真実 誰も知らない「玉音放送」」制作・著作:テレビ朝日 演出:原一郎 出演:長野智子 鳥越俊太郎
2011年8月14日(日)14時~15時25分放送 テレビ朝日
2011年8月15日(月)鑑賞

不思議なことに今年(2011年)8月14日にテレビの二つの放送局で昼と夜、「玉音放送」にまつわる番組が二つ放送された。偶然なのか、それとも何か新たなる事実が浮かび上がったのか、興味津々で二つとも観てみた。
まずはテレビ朝日の方から。

ちょっとタイトルが羊頭狗肉。これだといかにもあの半藤一利の名著「日本のいちばん長い日」にはない新事実が出て来るものだと期待するではないか。ところが、「誰も知らない」なんて煽っているくせに観てみたら「誰でも知っている」ことしか出てこない。少なくとも、半藤一利の本の読者ならば周知ことばかりである。「玉音放送」が2テイク目だったなんて今さら言われなくても知ってるって。とにかく内容の薄さにがっかり。
ただ、「玉音放送」の録音班で現在も唯一健在の玉虫一雄(89歳・元NHK録音技師)にインタビューしているのはお手柄である。今もなお矍鑠としている生き証人の肉声を聞けるのはやはり映像メディアの強みだ。

この番組が面白いのは、むしろタイトルには関係ない戦時中の日米の和平交渉を描いた前半部である。アメリカの海軍大佐エリス・ザカライアスとの日本の井上勇(同盟通信社)の間で交わされた「ピーストーク」の顛末が非常に興味深かった。こっちの方だけの構成にした方が良かったのではないか。

井上勇は、僕なんかにとっては創元推理文庫のミステリやSFの翻訳家として記憶に残る人物である。エラリー・クイーンやヴァン・ダインなどはこの人の翻訳で親しんできた。そんな人が戦時中にこのような重大な行動をしていたというのは驚きだ。以前に誰かの文章で井上勇が情報活動していた、というのを読んだことはあったが具体的には知らなかっただけに非常にためになった。
ただ、これだけではどうも隔靴掻痒の感が否めない。政府肝いりの通信社とはいえ一応は民間人の井上勇が、アメリカ軍人の呼びかけに応じてラジオ放送でのやり取りを行う、というのがちょっと理解しがたい。井上勇をバックアップしていた存在があったはずだと思うのだが、その辺は描かれず。井上勇自身もこの当時の体験について戦後に何らかの形で公表していないようなのが残念である。

というわけで前半部が面白く、後半部がつまらない、という結果に終わってしまったが、後半部で唯一ビックリするようなところがあったのも記憶にとどめておく。
それは、「玉音放送」すなわち「終戦の詔書」(天皇の意思表示の公文書)について、「人類初の反核平和宣言書」だとこの番組で言っていること。こんな考え方、初めて聞いた。ビックリだし、目から鱗だし、なるほどなあ、と感心もした。物事の解釈って時代とともに変わるものなのだなあ。

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