「愛国と米国 日本人はアメリカを愛せるのか」 鬼畜米英とは何か

評論「愛国と米国 日本人はアメリカを愛せるか」2009年 鈴木邦男著 平凡社新書 2009年6月15日初版第1刷
2011年7月16日(土)読了

この前読んだ「本と映画と「70年」を語ろう」(川本三郎との対談集)が面白かったので、鈴木邦男の本をもう一つ読んでみた。これも期待にたがわず面白い本であった。
 
生まれる前から「反米愛国」少年だった著者が、戦中・戦後の日米の関わり合いの歴史を振り返り、検証していくと同時に自身の右翼としての心の変遷を綴っている。左翼もしくは元左翼の人の個人史というものはよく見かけるが、右翼の人のものはそれほど見受けられないので、右翼一筋の著者の発言は非常に貴重であり、なにより面白い。
文章がざっくばらんで軽妙で読みやすく、考え方も柔軟で親しみやすい。
過去のさまざまな文献を良く読みこんでいるのももちろんだが、極めて行動的なのも大したものである。北朝鮮に行き、日本の右翼として朝鮮労働党幹部と激論したり、アメリカとの開戦間近のイラクに行き、反米デモを決行したり、というエピソードが面白い。
右翼のものの見方の一端が示されていて教えられることも多い。
特に赤尾敏について書かれた「第五章 日米戦争に反対した右翼・赤尾敏」は、著者の赤尾敏に対する尊敬がストレートに伝わって来るいい文章である。赤尾敏ってこういう人だったのか、と目を開かれる思いだ。数寄屋橋でいつも演説していた変な人じゃなかったのだ。

日米の歴史の中での胡散臭い「陰謀論」の類も意識的に取り上げているのも面白い。それらに対する著者の姿勢は極めて冷静で真っ当である。それにしても戦前からアメリカによる「3S政策」の脅威を語るものがいたとは驚きだ。(著者も驚いている。)「陰謀論」って意外に息が長いものだ。

著者が、ケネディ大統領を高く評価しているのも少し意外。世代の違いか、ケネディの偉大さというのが今一つ分からない。キューバ危機で共産主義のボス・ソ連と堂々と渡り合ったのを反共を掲げる右翼として評価している以上のものがある。うーん、赤尾敏とケネディを同時に尊敬するというのが分からない。不思議な組み合せ。

勿論、著者の書くことすべてに賛同するものではないが、さまざまなものの見方があることを強く教えてくれたことには大いに感謝したい。


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