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zoom RSS 「ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの」

<<   作成日時 : 2011/07/12 23:10   >>

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評論「ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの」1913年〜1928年 ドイツ ジークムント・フロイト著 中山元訳 光文社古典新訳文庫 2011年2月20日初版第1刷発行
2011年7月12日(火)読了

フロイトによる文学作品の精神分析的考察。全6編。
シェイクスピア「マクベス」「ヴェニスの商人」「リア王」「ハムレット」、グリム童話、ギリシア神話、ローマ神話、イプセン「ロスメルホルム」、ゲーテ「詩と真実」、ホフマン「砂男」、ソフォクレス「オイディプス王」、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、実に様々な作品に言及しながらフロイト独特の解釈を繰り広げるのがとても面白い。全部が全部、理解できたとは到底言えず難しいところも多いのだが、文学作品を俎上に載せているので割にとっつきやすく入り込みやすい。

「精神分析の作業で確認された二、三の性格類型」(1916年)における「マクベス」と「ロスメルホルム」論が興味深い。さらにそこから現実の犯罪行為に話を広げてこう書いているのに注目した。

逆説的に響くかもしれないが、犯罪行為が実行される前から、罪の意識が存在していたのであり、罪を犯したがために罪の意識が生まれたのではなく、罪の意識が存在したがために罪が犯されたと主張したいのである。(94ページ)

こういうところがフロイトの魅力なんだろうと思う。読む者をぐっと引きつける。

「「詩と真実」における幼年時代の記憶について」(1917年)を読むとゲーテの「詩と真実」が読みたくなる。

「不気味なもの」(1919年)は、主にホフマンの「砂男」を題材にして書かれたもの。「砂男」は、高校生のとき読んで非常に印象的で大好きな作品だったのでこの評論には特に心ひかれた。

男性の神経症患者が、女性の性器はどうも不気味に感じられると語ることは多い。しかしこの不気味に感じられる性器は、人間のかつての故郷への入り口なのであり、誰もがかつて、人生の最初の時期に滞在していた場所なのである。(186ページ)

滞在していた場所、という表現にフロイト流のユーモアを感じる。

「ドストエフスキーと父親殺し」(1928年)も面白い。
ドストエフスキーが自称していたように本当に癲癇持ちだったのかに疑問を呈し、賭博熱に取りつかれた彼の精神を分析してみせる。
賭博へのあくなき情熱は思春期のオナニー強迫が再現されたもの、とするフロイトの説は実に明快だが、明快すぎて「本当かな?」と思わせるところもあり、そこがまた面白い。

フロイトの他の本も読んでみよう。ホフマンの「砂男」も再読しなければいけない。

(追記)昔、読んだ「砂男」は「砂鬼」というタイトルだった。新潮文庫の「ホフマン物語」という本に入っていた。今は手元にない。この本は、高校生の時、司書の先生から山ほどもらった本の中の一冊。もっとも、その先生の所有物ではなく、誰か別の女の先生から譲り受けたらしい。(名前は分からない)
ネットで検索してみると、1952年2月発行で訳者は石丸静雄。この次の月に映画「ホフマン物語」が封切られているのでそれに合わせた出版のようだ。たしか、映画のワンシーンの写真もあったように記憶している。
訳文はやや古風だったように思うが、実に面白い作品でとりわけ残酷で冷笑的なラストの一行が印象的。フロイトが粗筋を細かく書いているので懐かしく思い出した次第。


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