「深く静かに潜航せよ」 豊後水道の死闘

DVD(映画)「深く静かに潜航せよ」RUN SILENT RUN DEEP 1958年 アメリカ 配給:ユナイト  監督:ロバート・ワイズ 製作:ハロルド・ヘクト 原作:エドワード・L・ビーチ 脚本:ジョン・ゲイ 撮影:ラッセル・ハーラン 音楽:フランツ・ワックスマン 出演:クラーク・ゲーブル バート・ランカスター ジャック・ウォーデン ブラッド・デクスター 上映時間93分 モノクロ 日本語字幕版 字幕翻訳:金田文夫 DVD発売:20世紀フォックス ホームエンターテイメント 
2011年5月27日(金)鑑賞

初見。潜水艦映画としてあの「眼下の敵」と並び称される作品だが、今まで何故か観たことがなかった。この前、原作の小説を買ったので映画の方も観てみるかとDVDを買ってみた。ちなみに小説の方はまだ読んでいない。

これは観てよかった。かなり面白い。傑作だ。もしかすると、「眼下の敵」より好きかも知れない。

観る前に一つの危惧があった。それは、この映画がアメリカ軍と日本軍の戦いを描いていると知っていたからだ。例によってひどい日本描写が出て来るんじゃないか、と思ったのだ。アメリカ軍とドイツ軍の戦いを描いた「眼下の敵」は、なんの引っかかりもなくすんなりと楽しく観られるのにやはり日本軍が出て来ると心中穏やかではない。
結論から言えば、思ったよりはひどいものではなかった。そもそも、日本人の出番がさほど多くない。勿論、有名な日本人の役者が出ているわけではない。むしろ、ちょっと日本語の怪しい役者が見受けられる。それも腹を立てるほどではない。
アメリカ軍から見た日本軍への視点もあからさまに見下したものではなく、互角に勝負できるすぐれた戦術を持っていると評価しているようだ。まあ、アメリカ映画だから勿論、最後はアメリカ軍が勝つのだが。

冒頭、リチャードソン艦長(クラーク・ゲーブル)の率いる潜水艦が豊後水道で日本の駆逐艦に撃沈されるインパクトのあるシーンから始まる。生き残ったリチャードソンは、一年後、潜水艦ナーカ号の艦長として返り咲き、副艦長ブラッドソー(バート・ランカスター)を始めとする乗組員たちとともに再び出撃する。だが、リチャードソンには誰にも言わずにいた秘かな思惑があったのである。それは豊後水道で宿敵である日本の駆逐艦アキカゼに復讐することだった。かくして司令部の命令に逆らい、ナーカ号は豊後水道へと向かうのであった。

復讐に燃える艦長とそれに対立する副艦長およびその他の乗組員たちが織りなす人間ドラマとして実に面白い。潜水艦の中は男だけでむさくるしいやら暑苦しいやらで息が詰まる、そういう感じが良く出ている。ゲーブル、ランカスター以外の役者もジャック・ウォーデンやブラッド・デクスターといったひと癖ある役者を揃えて渋く決めている。
ゲーブルの役も単なる執念の鬼にとどまらない膨らみがある。年齢的にも初老という言葉の似合うゲーブルが、かつてのスター役者と思えぬような一種の哀れさを誘う役を好演している。そして、きっちりカッコいいところはランカスターがさらっていくという印象だ。
そもそも、この映画はランカスターの主導するプロダクションの製作なのである。ベテランのクラーク・ゲーブルに演技的に花を持たせるような役を当てて、自分もそれなりにおいしい役を演じる。実にしたたかだ。

戦争アクションとして観てもなかなかよく出来ている。駆逐艦対潜水艦のみならず、潜水艦対潜水艦の戦いまであるサービスぶりで、それぞれの虚々実々の駆け引きも面白い。
東京ローズの謀略放送が意外な真実を解くカギになる、というくだりのミステリ的趣向もよく考えられていて上手い。
CGなんかがまるで存在しない1958年の映画だが、色々な映像的工夫をしているところが微笑ましく、嬉しい。実際の潜水艦を写した映像ももちろんあるのだが、セットもよく出来ている。多分、潜水艦の内部はセットだろう。こういうところがきちんと出来ているところが肝心なのである。臨場感が凄く醸し出されている。
ミニチュアの駆逐艦も潜水艦もなかなかの出来。僕は東宝特撮で育った世代だから、ミニチュアには心ときめく。大画面で観たらどうか知らないが、自宅の32インチのテレビ画面にはよくマッチしていた。

また「眼下の敵」を例に出して悪いが、アメリカ軍人ロバート・ミッチャムとドイツ軍人クルト・ユルゲンスがラストで心を通じ合わせるのがどうにも甘ったるくて好きじゃない。こちらの方がもっとドライで非情とも思えるラストになっていていい。

それにしても、潜水艦の中でもタバコ吸っている奴がいるのはいかにも時代だなあ、という感じ。
深く静かに潜航せよ [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2006-11-24

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