「ムーミンパパの思い出」 なまけ星を追って

児童文学「ムーミンパパの思い出」1950年 フィンランド トーべ・ヤンソン作・絵 小野寺百合子訳 講談社 ムーミン童話全集3 1990年8月24日第1刷発行 1997年6月6日第15刷発行
2011年4月26日(火)読了

「ムーミン谷の彗星」「たのしいムーミン一家」に続く第3作。当然のことながら、読者はムーミントロールの活躍を期待するのだが、トーべ・ヤンソンは天邪鬼なのか今作の主役をムーミンパパに割り当ててる。前2作であまり目立たなかったムーミンパパが、自らの過去を振り返って本を書くという設定で大いに目立っている。代わりにムーミントロール、スナフキン、スニフなどはほんの脇役にすぎない。随分思い切ったことをやるものである。せっかくお馴染みになったシリーズキャラクターを除外して、一世代前の物語にするとは。
しかし、その趣向が功を奏したのか、かなり面白く読んだ。「ムーミン谷の彗星」のダークさとはまるで違い、かなりユーモラスに作られていて、トーべ・ヤンソンの才能の多彩さを知ることができる。

この小説で分かったこと。
ムーミンパパは孤児であり、両親は不明、「ムーミン捨て子ホーム」で育つ。
何年後かにホームを脱走し、発明家にして船長のフレドリクソン、そのおいロッドユール、それにヨクサルと知り合い、冒険の旅に出る。
ロッドユールはスニフの父親、ヨクサルはスナフキンの父親である。ロッドユールはソースユールと結婚し、ヨクサルはミムラと結婚する。
ムーミンパパは、海を漂流してきたムーミンママを助ける、これが二人の運命的出会い。

今回は、ムーミンパパが書いた思い出の記であるから、ムーミンパパの性格が色濃く表れていて面白い。結構毒舌だし、冷静沈着だったり、感情を露わにしたりもするし、自画自賛したりもする。複雑な性格だ。
ストーリー的にも色々と盛りだくさんで飽きさせない。話を「冒険の旅」中心にまとめているので「たのしいムーミン一家」のような散漫な印象はない。その「冒険の旅」も先に述べたようにユーモアで味付けしてあるのでほら話のような無邪気な楽しさがある。お化けも出てくるけどちっとも怖くない、どころかあとで仲間になってしまったりする。そのおおらかさがとてもいい。

ムーミンパパのものの見方は時に辛辣である。特にヨクサルとスナフキン親子を「おなじなまけ星のあとを追っている」と皮肉に評している。あとの方で、「ヨクサルの態度は、だらしがないように思えました。」と書いてもいるし、どうもムーミンパパの人生観とは相容れないようだ。それでも、仲間としてつきあって行くという姿勢は変えない。その辺が凄く面白い。






ムーミンパパの思い出 (ムーミン童話全集 3)
講談社
トーベ・ヤンソン

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