「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸」 嘘だけど。

小説(ライトノベル)「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸」2007年 入間人間著 発行:アスキー・メディアワークス 発売:角川グループパブリッシング 電撃文庫 2007年6月25日初版発行 2010年12月3日26版発行
2010年1月1日(土)読了 読書時間137分

これは物凄い傑作である。日本文学史上に残る名作だと思う。嘘だけど。

例によってほとんど予備知識なしに読んでみた。近々実写映画版が公開されるようなので、どんなものかな、と興味を持ったのである。何となく、タイトルから受ける印象は、武闘派の女の子とそれに振り回される優柔不断の男の子を描いた王道学園ラブコメという感じでちょっと面白そう、であった。ところが、実際に読んでみてぶっ飛んだ。これはラブコメなんてものじゃなくサイコ・ミステリではないか。ライトノベルというのはこういうのもありなのか。
とにかく驚いた。これは嘘じゃない。

8年前、小学生だった主人公達は誘拐事件の被害者となる。その事件は陰惨で残虐な結末を迎えた(らしい)。現在は高校生になった彼らの心には一生ぬぐい去れない大きな傷が残っていた。
そして、今再び幼い兄妹の誘拐事件が起き、さらに得体の知れぬ何ものかによる猟奇的な連続殺人も起きていた。これらの事件に主人公達はいかなるかかわりを持っているのか。

のっけからとてつもなく衝撃的な展開があり、もうそこで引き込まれてしまう。ただ、この主人公カップルの言動には正直ついていけなかった。過去のトラウマがあるにしても現在やっていることの免罪符になるはずもない。このふたりには同情や好意といった感情移入が全くできなかった(特に前半は)。これ、どうやって話を着地させるのか読んでいて心配になるほどだ。それに今の御時世によくもまあこんな題材を取り上げたものだ、と感心もしてしまった。

結論から言えば、これはかなり良く出来たミステリになっている。自ら何度も「嘘だけど」を連発する「信頼できない語り手」であるみーくんの語りにさんざん振り回されて辿り着く結末はなかなか鮮やかで衝撃的である。真犯人の設定もうまいし、何よりも過去の事件をさんざんぼかしながら語ってきてもっとも大事なことを後出しするという手法も気持ちいい。そもそも、「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」というタイトルに最大の嘘があり、読むものを引っかけてしまうというのは見事の一言である。
勿論、弱い部分というか説明不足の部分もあり、多少の不満も残る。真犯人の意外性はいいが、何故、今事件を起こしたのかということがわからないし、そもそも、8年前の事件の具体的なディティールも今一つはっきりしない。兄妹の誘拐の動機も結局語られないままだ。この小説はシリーズになっているのであるいは続編以降に明かされる仕組みなのかもしれないが、やや消化不良の感じが残った。

で、最初の印象と違ってラストでは主人公カップルに感情移入してしまい、これから二人が幸福になればいいな、と思った。見事に作者の術中に嵌ってしまったようだ。



嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん?幸せの背景は不幸 (電撃文庫)
メディアワークス
入間 人間

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